薬はどのように飲むべきか?

心のはたらきを回復するために処方された薬をどのようにして飲むべきでしようか?

ここ40-50年の神経科学の進歩で、心の病気はニューロン(脳の神経細胞)のレベルでの理解が進んできています。薬による治療法(薬物療法)はこのような 知見に基づいて行われています。たとえば、ストレスはニューロンにダメージを与え、脳内でその数が減少することが知られていますが、抗うつ薬はそのニューロンの修復に役立つことが知られています。このように精神科の治療薬はストレスで変化したニューロンの働きを正常化するように作用してくれるのです。

このような理解はまだ一般に定着しているとは言い難く、また薬については多くの誤解があるように見受けられます。「薬は長期間服用すると身体に良くない」「こころの病気は薬に頼らず自己の努力で治していくべき」「薬を飲んでいるの認知症になる」といった誤解です。

このような誤解で自己判断により薬を調節したり、止めてしまい、病気の再発や症状が悪化する方も一部にはおられます。精神状態は簡単に自己判断できると考えてはいけません。こころの病気になると、自己認識に歪みがみられることがあるからです。また、薬の服用、減量、中止などは病気の種類、程度、治療の進み具合により異なります。薬の調節は主治医に相談し、自己判断で行わないようにしましょう。

院長 高橋 道宏

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