大人のADHD

2016年2月1日 月曜日  曇り

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おはようございます。

大人のADHD(注意欠如多動性障害)はアメリカでベストセラーになった「片づけられない女たち」サリ ソルデン (著)の訳本が2000年 に発売されてから、日本でも少しづつ一般に知られるようになりました。当院でも大人のADHDを疑い受診する患者さんが多くなっています。

大人のADHDでは、「仕事で不注意な間違いをして上司に叱責される」「新しい仕事の手順がなかなか覚えられない。」「仕事で2つ以上のことをやるように言われたが優先順位を付けてうまくこなすことができない」など仕事上の問題点から受診する方が多いです。

大人のADHDは大人になってから発病するわけではありません。ADHDは発達障害に分類され、子供の時に発病すると考えられています。症状は成長に伴い軽くなることが多く、少なくとも3分の2の患者さんは、18歳までに治療が不要になります。

一方、大人になってから症状が続く場合があります。これが大人のADHDです。子供の頃からADHDの症状があったものの、子供の頃にはADHDは一般に知られておらず、病気とは気がつかず、大人になってからADHDを疑う方もおられます。

一般に発病から時間が経つと病気は治りにくくなりますが、ADHDにはそのようなことは当てはまりません。ADHDは進行性の病気ではありません。治療により症状が改善し、「仕事がやりやすくなった」「上司に叱られなくなった」という方が多くおられます。

一方、ADHDのため仕事がうまくいかず、慢性的に過度のストレスを抱え、うつ病などのこころの病気を発病する場合があります。ですから、不注意などADHDが疑われる症状で過度のストレスを抱えている場合、早めに受診することをお勧めします。

大人のADHDの多くは、不注意症状が中心で多動症状が少なく、気づきにくい場合が多いです。仕事でミスが多いなど問題を抱えたとき、「ADHDなのか?」「それとも自分の性格のためなのか?」悩むことも多いと思います。

ADHDを疑がった時は一人で悩まず、早めに医師の診察を受けましょう。性格の問題と簡単にあきらめることはありません。ADHDは、他の発達障害に比べると治療法が確立しています。治療を始めるのは、今からでも遅くないのです。

参考図書「片づけられない女たち」サリ ソルデン (著)  WAVE出版

院長  高橋道宏

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