社交不安障害とは?

2016年02月15日(月)  曇り

おはようございます。院長高橋です。昨日は春のような暖かさでした。こころの病気を持たれる方は冬が苦手な方が多くおられますが、春はすぐそこまで来ています。

「人前で字を書こうとすると手がふるえてしまう。」「他人の目が気になって、外出するのを控えてしまう。」「会社でプレゼン前になると緊張して夜眠れなくなる。」「仕事でプレゼン(発表)していると動悸や汗がひどく出る。声がうわずってしまい、頭の中が真っ白になってしまう。」このような症状で当院を受診する方が多くおられます。このような症状は「社交不安障害」というこころの病気かもしれません。

このような症状があると社会生活上どのような問題が起きてくるのでしょうか?最近の会社ではプレゼン能力は大変重要視されます。自分の意見をわかりやすく発表できることが大きな意味を持ちます。会議でも昔のように黙っていれば良いというものでもなく、自分の意見を適切に述べることが要求されます。沈黙は金ではないのです。社交不安障害があると仕事上かなりのハンディーを抱えてしまうことになりかねません。

主婦でしたら、PTAの集まりに行くのが苦痛になります。役員に選ばれてしまうと、どうしても人前で話す機会があり、PTA活動を苦痛に感じるようになります。大学生なら、ゼミ活動。少人数のグループで自分の意見をいうことが苦痛に感じます。

いずれにしても、他人からみると一見病気にはみえず、本人の性格の問題にも思えてしまいます。病気であることを理解してもらえず、次第に社会生活にとけ込めにくくなり、人との関わり合いに消極的になってしまうという問題があります。

確かに社交不安障害の背景には、「細かいことが気になり、とらわれやすい」神経質性格が関与していますが、それだけですべてを説明できるわけではありません。診察室でお話を聞いていると、ほとんどの方は思春期以降に発病していますし、社会人になってから発病する方も多くおられます。単に性格の問題ならもっと早く発病していたと思います。社交不安障害は単に性格の問題ではないのです。

多くのこころの病気は、元々の病気になりやすい性格に何らかのストレスが加わって起きてきます。社交不安障害も例外ではありません。仕事のストレスや、子供であればいじめなどによるストレスが、そして主婦ならば育児のストレスなどが引き金になっている場合は多々あります。その意味では、単に性格の問題にされてしまうと、病気を持たれた方は浮かばれないと思います。性格の問題なら、「自分で頑張って何とかして下さい」とか「あなたの性格ではこの仕事は向いていない」などと半ばあきらめ顔で言われてしまうからです。

社交不安障害はれっきとしたこころの病気です。病気であるということは、自己努力だけではどうにもならない悩みを抱えているということです。そして病気は何より治療により症状が改善するということです。

社交不安障害の治療を受けて、「人前でも意見が言えるようになり、PTAの仕事が苦痛でなくなった。」「大学で友達といっしょにランチができるようになった。以前はランチに誘われても断っていた。」「人前で字を書くとき、手がふるえることが少なくなった。」「会社でのプレゼンが上手くできるようになった。会議でも自分の意見が言えるようになった。」など日常生活が改善した例は多くあります。ここにあげたのは全て当院で治療を受けた方々から伺ったものです。

人前で必要以上に緊張してしまうなどの症状は、単に性格の問題とあきらめてしまっていませんか?症状をこころの治療に明るい専門の医師に相談し、必要に応じて治療を受けるようにしてはいかがでしょうか?

院長  高橋道宏

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