2016年12月5日 月曜日
うつ病は治りにくいと考える人が多くいます。確かに一部の患者さんでは、治療期間が長くかかりますが、順調に治っていく患者さんも多くおられます。心の病気は、性格、生活環境などの個人差が治療結果に大きな影響を与えるため、一人一人治るスピードには違いがあります。しかし、うつ病の治り方には多くの人に共通の部分もあります。
うつ病には、精神症状と身体症状があります。精神症状は、「気分が憂うつになる」「不安や焦り」「何をするのもおっくう」「趣味などにもやる気が起きない」「考えがまとまらない」「集中力がなくなる」「決断力が低下する」などの症状です。一方、身体症状は「身体がだるくなる」「疲れやすくなる」「眠れなくなる」「食欲がなくなる」などの症状です。
精神症状では、「気分が憂うつになる」「不安や焦り」は治療により比較的早期に回復することが多いのですが、「何をするのもおっくう」「趣味などにもやる気が起きない」など意欲に関する症状の回復はやや時間がかかります。また、うつ病による身体症状は、精神症状の改善よりも時間がかかります。特にだるさ、疲れやすさでは時間がかかります。
個人差は大きいのですが、これが一般的な普通の治り方です。ですから、身体症状の改善が遅れていても心配はいりません。患者さんはなかなか自分の症状の改善に気がつきにくく、いつまで経ってもちっとも治らないと不安になりますが、このような一般的な治り方を知っていただき安心して下さい。うつ病が治りにくいと感じたら、一般的な治り方を思い出して下さい。
院長 高橋道宏