2016年12月12日 月曜日
うつ病は治療を始めて2-3ヶ月もすると、ある程度症状が良くなっていることが実感できます。この時点でまだ完全にうつ病が治っていなくても、ある程度症状が良くなっていると感じることができれば、明るい希望が持てるというものです。しかし、うつ病の治り方は一旦良くなり始めたら一直線に良くなる単純なものではありません。良くなってきていても、時々症状が悪化することがあるのです。
うつ病が良くなってきたと喜んでいたら、突然うつ気分が襲ってきたり、身体がひどく怠くなる。忘れていた症状がふたたび現れて驚いてしまうのです。「病気が悪くなってしまうのか?」などと考え、がっかりしてしまいます。このようなことが何回かあると、いつまでも病気が治らないと誤解し、絶望してしまいます。絶望感から本当にうつ病そのものが悪化することさえあります。
このような症状の悪化はほとんどが一時的なものです。しばらくするとまた症状は良くなり始めます。ですから、このような悪化は症状の自然変動のようなものと考えて、慌てず対処しましょう。慌てるとかえって不安になり、規則的な生活が乱れたり、薬を飲み過ぎて症状が悪化してしまうことがあるからです。特に元々神経質な方、不安が強い方は症状の変動に敏感です。症状の自然変動を悪化と捉えやすいため注意しましょう。
特に症状が悪化する原因となるストレスが思い当たらない場合は、うつ症状の自然変動である可能性が高いのです。うつ症状の自然変動はほとんどすべての患者さんに見られます。慌てずに休養モードで少し様子をみて下さい。症状が悪化したと考えて薬をすぐに変更する必要はありません。大体短期間でうつ症状の自然変動は安定します。主治医と相談しながら、安心して対処しましょう。
院長 高橋道宏