2017年2月13日 月曜日
気分が落ち込み、不安や緊張もあり、汗をかいたり、めまいなどの身体の症状がある。うつ病かと思い診察を受けたら、適応障害と診断された。こんな患者さんが多くおられます。心の病気はストレスで起きることがとても多いのですが、適応障害もストレスによって発病します。その意味ではうつ病と良く似ていますが、適応障害は症状の現れ方がうつ病とは異なります。
うつ病ですと、毎日、毎日気分が落ち込みます。適応障害では平日はうつ病と同じ位に気分が落ち込んでも、休日になると割と元気になることがあります。ストレスの原因が仕事や学校などの場合、ストレスのある平日とストレスがない休日とでは症状が大きく異なるのです。適応障害ではストレスの原因から離れると、うつ病より症状が改善しやすいという特徴があります。
適応障害はストレスに圧倒されてしまっている状態ですから、ストレスとどう付き合うかを考えることが治療になります。ただ漫然と薬だけを飲んでいても治るわけではありません。ストレスとどう向き合うかを考えることが治療になるのです。ストレスを避けるのか?あるいはストレスに対する適応力を伸ばしていくのか?ケースバイケースで考えていきます。善玉のストレスを受け入れ、悪玉のストレスを避けるようにするのです。
ストレスから逃げるだけではストレスに弱くなる一方で、心が子どものようになってしまいます。しかし、パワハラ、いじめなど過酷なストレスは避けることが必要です。どのストレスを受け入れ適応し、どのストレスを避けるべきかは、主治医と相談して進めていきましょう。適応障害の治療は、ストレスとの付き合い方を変えていくことです。このような適応障害の治療法は他の心の病気の治療、予防にも役立てることができます。
院長 高橋道宏