大人のADHD

2018年3月5日月曜日

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、子供の頃から不注意、多動性・衝動性などの症状がみられる発達障害です。多くの患者さんは、成長とともに症状が軽くなっていきますが、大人になっても症状が続く場合があります。

大人になっても症状が続くものを大人のADHD(成人ADHD)と言います。ADHDの患者さんの約3分の1の方は大人になっても症状が残ると報告されています。

大人のADHDでは、ADHDの症状の中でも特に不注意症状のために仕事に影響が出ています。仕事でミスが多い、上司からの指示を忘れてしまうなどの例が多いのです。

職場での評価は低く、自分に自信が持てなくなっています。自分自身に自信が持てないため、新たに適応障害、うつ病、不安障害などの心の病気が発生することが少なくありません。これを併存疾患と言います。

二つの障害を抱えると、日常生活に与える影響はより大きなものとなります。また、治療もより複雑なアプローチが必要となり、回復により多くの時間を要するようになります。

海外の統計によると、併存疾患のない大人のADHDは全体の4分の1程度しかないと報告されています。適切な治療を受けないでいるうちに、ADHD以外の併存疾患を持つようになる方が多くおられることがわかります。

ADHDは適切な薬物療法とADHDに対する理解を深める、生活指導をするなどの患者教育により大きく改善していきます。ADHDの治療薬は国内では3種類承認されていますが、どの薬も副作用などの点でも大きな心配はありません。

多くの患者さんは治療効果に満足すると同時に、もっと早く受診しておけば良かったとの感想を口にされます。ADHDを疑ったら早めに医療機関を受診することをお勧めします。

院長  高橋道宏

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