2018年5月14日 月曜日
注意欠如多動性障害(ADHD)の治療では、お薬による治療が一般的になりました。お薬がない頃は、多種多様なアプローチをしてもなかなか良くならなかった方が、同じ人かと思う位良くなったケースは少なくありません。
お薬は脳内にあるドパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質に働きかけ、症状を改善します。約3分の2の患者さんでは症状が半減しています。
しかし、薬を飲んでも症状が100パーセント完全になくなる方は少なく、多少症状が残存することがあります。薬は万能ではないのです。
このような方は、服薬を続けながら生活指導が必須となります。生活指導では、ADHDの方自身が症状を理解し、症状に合わせた日常生活の工夫を行うことができるようにサポートしていきます。
例えば、「いつも時間に遅れてしまう方」は、いつ何をするかといったスケジュールを1日の流れの中で理解し、それに伴い早めに行動していくことが大切です。
また、時間感覚がやや鈍く、行動のスピードがあまり早くないため、予定を入れ過ぎないように工夫することも必要です。このような工夫をすることで、問題点を克服することができるのです。
ADHDの生活指導では、自分で自分の問題点に気づくことができるようにしていくことが大切だと考えます。自分で気づくことができる人は学習できる人です。学習することによってミスを少なくすることができます。学習することによって時間に遅れなくなります。
お薬による治療と生活指導を適切に組み合わせることで日常生活におけるADHDの問題点を乗り越えることができるのです。
院長 高橋道宏