2018年8月27日 月曜日
脳出血、脳梗塞、骨折など身体の病気では、身体が少し動くようになってから、リハビリをすることで失われた機能の回復をはかることが一般的です。うつ病などの心の病気でも例外ではありません。病気になる前のように元気に活動するためには、リハビリが必要です。
しかし、うつ病のリハビリはまだあまり普及しておらず、どのようなものなのか、その実態はあまり知られていません。身体のリハビリと比べると本や論文もあまり多くありません。
うつ病は休養とお薬により、2-3ヶ月もあれば回復していきます。特に気分の落ち込みなと心の症状は、比較的早く回復しますが、だるい、疲れやすいなど身体症状の回復には時間がかかります。心の症状が回復すると、以前のように活動できそうな気がしますが、いざ動いてみると、思ったように身体が動かず、すぐに疲れてしまうことに愕然とします。
うつ病のリハビリは、このような動きにくく、疲れやすい身体を回復させ、心と身体の回復キャップを埋めるために有用です。
うつ病のリハビリでは、まず規則正しい日常生活を送るように心がけることが出発点となります。規則正しい日常生活とは、規則正しい睡眠、食生活、運動です。特に睡眠リズムの乱れを回復しないと、疲れやすい身体はなかなか回復しません。
うつ病では朝調子が悪く、起床時間が遅れがちになりますから、自然の流れに任せておくと昼夜逆転の生活になります。このようなうつ病に伴う生活リズムの乱れを乗り越え、日常生活リズムを取り戻すことが社会復帰の第一歩となります。
活動量を増やす時は、無理をせず、段階的に増やす必要があります。無理せず活動量を少しづつ増やしていくと、次第に気力と体力がアップしていきます。ある程度回復したら、回復した体力と気力に応じて活動量を増やせば良いのです。うつ病で休職中の方が復職する時は、みなし出勤などで勤務時間を段階的に延長します。
決して気力や体力以上の活動をしてはいけません。回復の度合いに合わない無理な活動は症状を悪化させます。主治医と相談しながら、自分の気力や体力を見極め、それに応じた活動をしていきましょう。
院長 高橋道宏