社交不安障害を克服する

2019年1月21日 月曜日

社交不安障害は、人前で緊張して手が震える、思ったように話せず吃る、人前で食事をすることを極度に避けるなどの症状がみられるこころの病気です。緊張のあまり自律神経の調子が崩れ、顔面が紅潮する、手にびっしょりと汗をかく、動悸がするなど身体の症状もみられます。

社交不安障害の方は、人付き合いが苦手で友達が少ない傾向にあります。会社でプレゼンがうまくできず頭の中が真っ白になる、会議で発言することができず実力よりも低い評価になるなどのため自信を失ってしまいます。

このようなことは性格的なものだとあきらめ、すっかり自信を失っている方も多くおられますが、これは単に性格によるものだけではありません。純粋に性格によるものであるなら、幼少期からそのような傾向がみられますが、多くの方は中高生などある一定の年齢になり初めて症状が現れます。

このような症状は、性格も関係していますが、なんらかのストレスがきっかけになることが多いのです。例えば、社交不安障害では、過去にいじめを受け、人間不信になった方が多くおられます。人が怖くなり発病するのです。

近年はSSRIといううつ病の治療薬が社交不安障害にも効果があることがわかり、積極的に使用されるようになりました。SSRIは脳内でセロトニンの濃度を高めることにより、不安を減らすことができます。

SSRIには依存性がなく、一定期間(.多くは1年程度)服用した後で、薬をやめることも可能です。SSRIを服用すると、半年くらいで症状が半減します。この時点でまだ症状は残っているものの、今までの症状が半分に減ると日常生活が随分と楽になります。

社交不安障害は、自分でも気づかないうちにゆっくりと治っていきます。ちょうど成長期の子供の背が伸びるのと一緒です。普段一緒にいる人は身長が伸びてことに気づきませんが、久しぶりに会った人はその変化が良くわかります。

社交不安障害の不安が治っていくのもこれと同じです。普段は気づきにくいのですが、ある時に気づいたら、あまり緊張しなくなっている自分を発見するのです。ですから、焦らず、落ち着いて治療を続けましょう。社交不安障害を乗り越え、自信を持って生活できる日は必ずやってきます。

院長 高橋道宏

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