2019年1月28日 月曜日
パニック障害、強迫性障害、社交不安障害など不安障害を治すためには、お薬を飲むだけで良いのですか?という質問をしばしば受けます。
不安障害は、不安を感じた時に活動する脳の中にある扁桃体という場所が過剰に反応しやすいことに原因があり、扁桃体の過剰な反応をコントロールする働きをするお薬は効果があります。
不安が不安を呼ぶ悪循環になると、自力で抜け出すことは難しく、このような悪循環を断つために、お薬は大変役立ちます。
一方、不安障害では不安になりやすい行動の特徴があります。お薬の助けを借りるのと同時に、不安になりやすい行動特性を改善することが大切です。
このような行動特性を改善しない限り、お薬で不安は一時的に治るものの、不安になりやすい行動特性は全く変化しません。
お薬はあくまで対症療法ですから、不安になりやすい行動特性を変化させることがより本質的な治療になるのです。
不安障害になる方の行動特性として、先のことを考え過ぎて不安になるものの、目の前のことがおろそかになる点があります。
今考えても仕方のない先のことを懸命に考え、不安になるのです。将来のことを考えても、明るい未来を想像することができず、今後起きることへの不安と恐怖から、ますます不安になります。
これは不安によるマイナス思考によるものです。うつ病と同様に、不安障害でもマイナス思考がみられるのです。
このようなマイナス思考に打ち勝つためには、将来のことは努めて考えず、今なすべきことに集中することです。
人間が不安、緊張からいろいろな悩み事を考えるには多大な脳のエネルギーが必要です。
人間の脳のエネルギーは有限です。不安に脳のエネルギーを使うのではなく、現実に目の前にあることにエネルギーを振り向けると、不安に向かうエネルギーは減少していくことになります。
このようにしてとらわれから解放されていくのです。
院長 高橋道宏