うつ病と自律神経の乱れ

2019年6月10日 月曜日

つい最近まで朝夕は結構寒かったのですが、急に暑くなってきました。今年はエルニーニョ現象で暑い夏になりそうです。このような急激な季節の変わり目で、頭が痛い、体がだるい、疲れやすい、体温調節ができない等の症状を経験する方が多くおられます。

また、雨天の前日やその当日、気圧が急に下がった時にも同じような症状を経験します。頭痛を経験する方もおられます。このような症状はなぜ起きるのでしょうか?

このような症状は、自律神経の働きがうまくいっていないことを示しています。自律神経には、緊張した時に働く交感神経とリラックスした時に働く副交感神経があります。

交感神経と副交感神経は、その時々の状況に合わせて、交感神経優位になったり、副交感神経優位になったりしながらバランス良く働くことで、自分の身体と外部環境の変化とを調整する役割を果たしています。気温や気圧が変化した時に、体温調節を行い、身体が適応するのは自律神経がバランス良く働いているからなのです。

ところが、うつ病になるとこの自律神経のバランスが乱れます。緊張すべき時に緊張できない。反対にリラックスしても良い状況なのに緊張してしまう。その結果、気温、気圧など外部環境の変化に適応できず、体調を崩してしまうのです。

うつ病の方にみられる動悸、息切れ、口の渇きなど身体症状の多くは自律神経の乱れによるものなのです。この他にもめまい、頻脈、胸の圧迫感、胃の不快感なども自律神経の乱れによって起こります。

自律神経の乱れによる症状は、不安を引き起こし、うつを悪化させる可能性があるため、適切に対処する必要があります。そのためには、まず自律神経の乱れは必ず回復するので、過度に心配する必要はないはないということを知る必要があります。その上で、体調の悪い時は無理をせず、回復を待つと言う姿勢で良いのです。

このような症状に不安になると、症状がかえって悪くなります。不安は緊張を引き起こし、緊張は交感神経の働きをさらに強め、自律神経失調の乱れを悪化させてしまうからです。したがって、安心しリラックスすることが一番の薬なのです。

うつ病が良くなり、心も体も健康になってくると自律神経の調子は徐々に元に戻っていきます。自律神経のバランスがうまく取れるようになると、もう季節の変わり目や雨が降る時にもつらいという事はなくなっていきます。

自律神経の調子は、うつ病が治るにつれて徐々に改善していきます。ですから、自律神経のバランスを良くするために特別な治療薬は必要ありません。ストレスを避け、休養しうつの回復を待ちましょう。うつによる自律神経の乱れは必ず回復します。

院長 高橋道宏

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