うつ病が治るとは?

2019年12月23日(月)

「病気が治るとはどのようなことでしょうか?」といった質問を受けることがあります。身も心もつらくて受診したものの、治療が進むとある程度良くなっていきます。

ところが、まだ治っていないところもあり、一体治るとはどのようなことなのかわからなくなってしまうのです。このようなことは治療が長引いたうつ病の患者さんに多くみられます。

うつ病が治るとはどのようなことでしょう?うつ病になると、悲しい気持ち、気分の落ち込み、意欲がなくなるなどこころの症状が現れます。また、身体がだるくなる、ひどく疲れやすくなるなどの身体症状も現れます。

うつ病はこころの病気ですが、身体症状も現れる病気です。症状が軽いうちは、仕事、勉強、家事などを何とか続けていますが、症状が悪化すると、仕事を休みがちになる、家事が手につかなくなるなど日常生活に支障をきたすようになります。

気分の落ち込みなどの症状は薬で治りやすい症状ですが、疲れやすさ、だるさなどの身体症状は長く続く症状です。身体症状が治らないと、仕事や家事の能率は下がったままで、本来の能力を発揮できません。

身体症状は、自分の意思とは関係なく勝手に現れてしまう症状です。何とか頑張ろうと思っても、気合いだけでは空回りするだけで、かえって無力感に苛まれたり、自責の念が湧いてしまいます。

身体症状を治すためには、薬を飲むだけでなく、生活改善が必要です。規則的な生活、過剰なストレスを避けた無理のない生活が基本になります。このような健康な生活を続けていけば、身体症状は自然に良くなっていきます。

ある程度症状が取れてきたら、無理のない範囲で少しずつ動くようにします。それもできるだけ毎日同じペースで動く。持続可能な動きを継続し、あせらず徐々に回復を目指しましょう。そして、身体が健康になるとこころは更に健康になる良循環が始まります。

うつ病が治るとは、うつや不安などの症状がなくなるだけでなく、病気になる前の状態を完全に回復することです。そのためには、薬で症状を改善するのみではなく、主治医と相談しながら日常生活を適切に改善し、真に健康な状態を目指しましょう。

真に健康な状態を回復すれば、仕事、勉強、家事など日常生活は普通にできるようになります。病気になる前と同じように、友達との交流や趣味も楽しむことができるようになります。

今はうつでこころも身体も自由にならなくても、治療と生活改善により必ず回復できるのです。

院長 高橋 道宏

2015年12月28日

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