2020年3月30日 月曜日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界的に猛威をふるうなか、人と人とが「社会的距離」をとるように勧められています。 社会的距離をとるとは、人と人とが接触する時に、これまでよりも空間的に離れることを意味します。
このような方法は、感染の拡大を防ぐために仕方ないことですが、社会的距離をとると孤独感が強まるため、心理的距離を縮めたくなります。
都市封鎖(ロックダウン)が相次ぐ欧米では、社会的距離をとっていますが、これまで以上に互いの絆を大切にするようにもなりました。→動画参照
ところで、うつ病や不安障害などのこころの病気になると他人との心理的距離を縮めたくなります。こころの病気で孤独になり、心理的距離を縮めたくなるからです。
孤独になり、心理的距離を縮めたくなる気持ちは誰にでもありますが、他人を求める気持ちが行き過ぎると他人と自分との心の境界線が曖昧になります。
本来自分が悩むべきでないことを自分のことのように錯覚し悩むようになります。また、悩み始めるとそのことにとらわれ、考えることをやめることができなくなります。
他人のために悩み、何かをするのは素晴らしいことですが、自分が精神的に不健康な悩み方をしていることには気づきにくいものです。
まず自分自身が精神的に健康な状態になり、他人に対して適度な距離をとり、初めて他人を助けることができます。
他者に対して適度な距離を取ることができるかどうかは、こころの健康のバロメーターということができるでしょう。
うつ病、不安障害が治りにくい方の中には、他者に対する他者に対する依存が強い方がいます。このような依存を適度に修正することで、症状が改善することが少なくありません。
他者との距離を適切に保ち、心の病気を乗り越えていきましょう。
院長 高橋道宏