5月18日(月)
これまでうつ病だと言われて治療を受けていたのに、診断名が双極性障害(そううつ病)に変更になった方が少なからずおられます。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?それは、主治医にそう状態の時の様子が伝わっていなかったためです。
これまでのほとんどがうつ状態でも、過去に一度でもそう状態があったことがわかると、病名は双極性障害に変更になります。うつ状態はうつ病のうつ状態と何ら違いはありません。一方、そう状態は単に元気の良い時があっただけのようにも見え、病的なものと気づかれにくい特徴があります。
躁状態は一定時間が過ぎると必ずうつになります。いつまでも続くことはありません。うつは慢性化することがありますが、そう状態は慢性化することはありません。ですから、多くの方はうつ状態がほとんどで、そう状態は経過全体の20%程度となります。
うつ状態はうつ病でも双極性障害でも見かけは何ら変わりはありませんが、治療法は大きく異なります。うつ病では抗うつ薬による治療が中心になりますが、双極性障害では気分安定薬による治療が中心になります。
長い間抗うつ薬で治療してきて治りにくいうつ病は、もしかすると双極性障害かも知れません。過去にひどい浪費、眠らなくても良いと思うくらいの元気さ、いつもになく自信家になり周囲の人とトラブルを起こすなどそう状態がなかったか振り返ってみましょう。
もしかするとそれはそう状態かも知れません。その状態を主治医に伝えることで、診断が変わり、治療法が変わってくることがあります。
治療法が変わることによって、なかなか治りにくかったうつ状態が改善に向かうとがあります。
院長 高橋道宏