2020年8月17日(月)
不安障害になると、不安になることが苦痛でたまらません。時にはパニック症状が起きることもあり、多くの方が抗不安薬を服用しています。
かつてはこのような医療は一般的でした。抗不安薬薬を適切に使用すれば、治療に役立つこともあります。
一概に抗不安薬を使うのは良くないとまでは言い切れませんが、抗不安薬が治療の中心だとしたら、いつまでも不安を乗り越えることはできないと思います。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、すぐに効果が現れるものの、服薬を続けると薬に慣れてしまい、もっと多くの薬が必要になることがあります。
薬がどんどん増えていき、処方できる限界に達してもまだ不安が治らない。こうなると自己判断で処方された薬の量よりも多く服薬してしまうことになりかねません。これは薬物依存の始まりです。
不安障害の治療では、どのような心構えで日々を過ごすのかという行動指針が大きな意味を持ちます。抗不安薬わ飲み続けるだけでは、いつまで経っても治療の終わりが見えません。
不安障害への行動指針は、①考え過ぎないこと、②行動すること、③閉じこもらないことの3つです。
不安障害は考え過ぎの病気です。考え過ぎて、先々のことまで考え不安になり、目の前のことに集中できません。
考え過ぎないためには、行動することです。忙しい時は、考えている時間がなくなり不安が軽減されるのは、多くの方が経験しているところです。
また、自分の部屋など閉鎖空間にこもると、考え過ぎてしまいます。閉鎖空間ではパニック症状が起きやすいこともあり、不安障害を治すためには、出来るだけ閉じこもらないようにすることが大切です。
薬の助けを借りながらも、薬だけに頼り過ぎないようにしましょう。不安障害は薬を飲んでいるだけでは現状維持以上のものにはなりません。
一歩進んだ改善のためには、不安への行動指針を意識しながら生活することが大切です。不安への行動指針を実践することが症状の改善と薬の減量に結びつくのです。
院長 高橋道宏