2021年11月8日(月)
注意欠如多動性障害(ADHD)は、不注意、多動性•衝動性などの症状がみられる発達障害です。他の発達障害と異なり、成長とともに症状は軽症化していきます。
しかし、約3分の1の方は成人してからも症状が続くことが知られています。成人してからも症状が続く方が、大人のADHDです。
大人のADHDでは、子供のADHDと比べて多動性•衝動性はあまり目立たず、不注意が中心となります。不注意と比べて多動性・衝動性は発達の過程で軽症となることが多いためです。
不注意症状の中で、仕事、学業などの社会生活上問題になるのが優先順位がつけられないという症状です。優先順位がつけられないと、「ご飯を食べているのに、急に別のことを思い出し行動してしまう。」「その時気になることをやっていたら、約束の時間に間に合わなくなる。」などちぐはぐな行動がみられます。
優先順位がつけられないとバラバラな行動を繰り返し、何の成果も得られません。その結果達成感のない毎日となってしまいます。
優先順位がつけられないのは、ADHDでは脳の前頭前野という部分の機能が低下しているためです。最低限の薬を飲むことで前頭前野の機能を回復すると、優先順位をつけやすくなります。
そのうえで「やるべき仕事をすべて書き出し、優先順位をつける。そのメモを見えるところに貼る。」などの生活上の工夫を重ねていくと、徐々に優先順位をつけて行動できるようになります。
発達障害だからといって、諦める必要はありません。地道な努力を積み重ねることで、多くの問題点を解決することができます。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏