うつ病回復期の出口戦略

2022年5月2日(月)

うつ病回復期では、「早く復職したい」と焦って急に活動量を増やし、かえって体調の悪化をきたす方が多くおられます。

うつ病の回復期には、全身倦怠感、疲労感などの症状のため、病前のおよそ6割程度の稼働性しかありません。

このような状態で焦って復職すると、かなり無理をして職務をこなすことになます。結果的に病状が悪化し、再休職となる可能性が高いと言えます。

うつ病の再発率は少なく見積もっても50%程度あり、その原因の一つがこのような早過ぎる過活動なのです。

回復期には規則正しい生活をしながら、階段を上るように、少しづつ稼動性を高める必要があります。

たとえば、午前中1-2時間は軽作業をするなどし、無理なくこなせるようになったら、作業時間を少しずつ増やしていくのです。

また、図書館に通うなどし、昼間に活動する時間を徐々に増やしていくことも役立ちます。

外に出て散歩やウォーキングなどの運動をし、失われた体力を取り戻しましょう。ただしあまり激しい運動は控えて下さい。

激しい運動で疲労が蓄積するとうつ病からの回復力が抑えられてしまうからです。ちょっと汗をかく位の運動がちょうど良いのです。

このように、うつ病の回復期では生活リズムを整えながら、体力の回復を少しずつはかることが大切です。

階段を上るように段階を踏んでゆっくりと、しかし確実に前進していくことで、必ず安定して勤務できる日がやってきます。

高橋心療クリニック

院長 高橋道宏

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