2022年5月16日(月)
不安障害とうつ病は異なるこころの病気です。当初は不安障害だった方で、その後うつ病を発症した方が多くおられます。
国内外の研究結果から、不安障害とうつ病は合併しやすいことが知られています。
なぜ不安障害の方はうつ病を併発しやすいのでしょうか?もしそうだとしたら、どのようにしてうつ病の併発を予防できるのでしょうか?
また、不安障害とうつ病を併発した場合はどう治療すべきなのでしょうか?
不安障害は、不安なことが気になり頭から離れなくなる、いわゆる「とらわれ」が原因で発症します。
心配事にとらわれるとそれが頭から離れなくなり、大きな精神的エネルギーを費やします。その結果うつ病を併発するのです。
このように不安障害を土台としてうつ病が発症するため、不安障害をできるだけ早く治療し、うつ病の併発を防ぐことが大切です。
また、うつ病を併発してしまった場合は、まずうつ病の治療を優先してしっかり行います。
その後、うつ病の原因となった不安障害を治療すると良いでしょう。
うつ病と不安障害では使う薬は共通のものも多くありますが、行動の方向性は全く正反対になります。
うつ病は休養し、エネルギーを回復することが大切です。
不安障害は休養していて治る病気ではありません。心配事があっても、心配事にとらわれず、いつも通りの生活を続けることが大切です。
まず、休養してうつ病を治す。うつ病が治ってきたら、気になることがあっても積極的に行動し、不安障害を治していくのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏