2022年6月6日(月)
不安障害の治療では、抗不安薬が使われてきましたが、抗不安薬はあくまで対症療法に過ぎません。
抗不安薬は即効性があり、服薬すると30-40分位で効果が現れますが、3時間位すればその効果が薄れ、また不安になってしまいます。すると、また抗不安薬が必要になり、終わりがありません。
抗不安薬の服用を繰り返せば、繰り返す程、抗不安薬に対する依存が生じます。このようなことでは、不安障害が根治することはありません。
不安障害を根治することはできないのでしょうか?不安障害は神経質性格が深く関わっいます。性格を変えることができなければ不安障害は治らない。
今更性格は変えることができないから、一生この病気は治らない。などと考えていないでしょうか?
しかし現実はそうではありません。性格を完全に変えなくても一部考え方と行動を軌道修正するだけで、不安へのとらわれから逃れることができるのです。
私たちの心には潜在意識というものがあります。潜在意識とは、意識できない心の世界です。不安になりやすい、とらわれやすい傾向は意識できない潜在意識の中にあります。
不安になりやすい、一つのことを考え続けてしまう、そのような傾向は潜在意識の中に根を張っていて、それが変わらないといつまでも不安障害は治らないのです。
では潜在意識下の不安を変えていくにはどのようにしたらよいでしょうか。そのためには、繰り返し不安にとらわれてはいけないということを学習することが大切です。
人間はおおよそ人から聞いたことの80%は忘れてしまいます。一度学習しても繰り返し学習しなければその内容を忘れてしまいます。
ですから繰り返し不安に関する正しい情報をを脳にインプットすることが必要です。
何回も脳に正しい情報をインプットすることで。徐々に潜在意識下の不安に影響を与えることができるのです。
また、我が国オリジナルの神経症の治療法で有名な森田療法では行動することの大切さを教えています。
不安になっても必要なことはいつも通り行う。不安から逃げないという行動を実践することで、私たちの潜在意識下の不安に対して変化を促すことができます。
このようにして不安障害を根治していくのです。抗不安薬に頼ってはいけません。ぜひ実践することをお勧めします。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏