不安をやり過ごすということ

2022年11月28日(月)

不安障害になると過剰な不安に悩まされます。

たとえば、「火をきちんと消したか」、「ドアのカギをちゃんと閉めたか」を何回確認しても不安が消えません。

電車に乗る時に「動悸、息切れなどの発作が出るかもしれない」と考え、外出がおっくうになります。

仕事が普通にできているのに、大きなミスをしたらどうしよう?と不安になります。

このような不安に対し、これまでベンゾジアゼピン系抗不安薬が使われてきました。服薬すると30-40分で効果がありますが、数時間すると効果はなくなってしまいます。

するとまた不安になり、次の服薬が必要になります。抗不安薬の服薬を繰り返しても、不安になりやすい根本は変化することなく、治療には終わりがありません。

では、どのようにしたら不安障害は根治するのでしょうか?

不安障害は神経質性格に根ざしています。神経質性格に働きかけない限り、不安による服薬はずっと続いてしまいます。

神経質性格の特徴は、些細なことが気になる。そのことにとらわれてしまう点にあります。

何らかの原因で不安にとらわれると、いつもそのことばかり考え、不安はどんどん大きくなっていきます。

ですから、不安障害を根治するためには、不安に対するとらわれから解放される必要があります。

不安障害で見られる不安は、現実離れしています。現実離れした不安をいつまでも考え続けても、ますます現実から遊離し不安になるばかりです。

不安に自分自身の行動を左右されてはなりません。不安があっても、その不安を考え続けることはやめ、今自分のなすべきことを着々とやっていくのです。

そうすると、自分の関心事が不安から現在行動していることに移っていき、徐々に不安へのとらわれから解放されます。

多くの患者さんが忙しい時ほど不安にならない。余計なことを考えなくなったからとおっしゃるのは、忙しさのため、不安について考え続けることをやめたからです。

このようにして不安をやり過ごせるようになると、不安になっても大丈夫だと自分に言い聞かせることができるようになります。

このような状態になれば、不安障害は8割くらい良くなっています。

このような方法で不安を乗り越えても、また不安になることがあります。症状は波のように時々おそってきます。その時も再び大丈夫だと自分に言い聞かせて下さい。

不安は思い込みに過ぎないのですから、正しい現実に目覚めるようにしましょう。

このように不安をやり過ごすことの繰り返しが、不安障害を根治に導くのです。、

アーカイブ

PAGE TOP