2023年1月23日(月)
パニック障害は、動悸、息苦しさ、過呼吸、手足の震えなど自律神経の異常(パニック発作)が起こる精神疾患です。
パニック発作は、突然起こります。死んでしまうのではないかと思うほど症状が強いため、また発作が起きたらどうしようかと不安になります(予期不安)。
予期不安が強くなると電車、エレベーターの中など、発作が起きやすい場所を避けるようになり、生活上支障が大きくなります。
パニック障害はお薬による治療が効果的です。特にパニック障害の治療では、発作を予防することが最も大切です。
一度発作を起こしてしまうと、発作による恐怖感がしばらく頭から離れなくなります。この恐怖感から予期不安が強まり、日常生活の行動が制限されるようになります。
予期不安は人間の理性ではなく本能の部分に原因があります。大丈夫だと理性的に自分に言い聞かせても、どうしても本能的な恐怖感が先立ちます。
このため発作を起こさないよう、お薬による予防が大切なのです。
発作を予防するためには、抗うつ薬として開発されたSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)が有効です。
SSRIは依存性はなく、長期に服用しても安心です。脳内でセロトニン神経系を強化するため、自律神経が安定し、発作は確実に予防されます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は依存性の観点から、長期間の服薬に適していません。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬には即効性がありますから、発作を起こした直後、あるいは発作が切迫している時にのみ頓服として一時的に使用するだけにしましょう。
パニック障害はお薬による治療が効果的です。薬物依存にならないように、お薬とうまく付き合いながら、発作を予防するようにしてください。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏