2023年6月26日(月)
アルコール依存症は、飲酒量を自己コントロールできない状態になる病気です。長期間の過剰な飲酒により、肝機能障害、胃潰瘍、食道炎などの健康問題が生じます。
また、大量飲酒により怒りっぽくなり、人間関係のトラブルも引き起こすことがあります。さらに進行すると、昼間からの飲酒が常態化し、日常的に手の震えが現れるようになります。このような状態になると仕事を休むことが多くなります。
アルコールの依存性の原因は、アルコール摂取により、脳内の報酬系に影響を及ぼす神経伝達物質であるドパミンが放出されることにあります。このドパミンの増加が快感や満足感をもたらし、アルコールの依存性を高めるのです。これは麻薬の依存メカニズムと同様のものです。
これまでのアルコール依存症の治療は、さまざまな治療プログラムはあるものの、最終的には意志の力でアルコールを断つことを頑張るしかありませんでした。しかし、アルコールの依存性は非常に強く、多くの方が挫折していました。
最近アルコール依存性の治療では、飲酒欲求を抑える薬が使用されています。この薬は、アルコールの欲求を減らす効果があり、脳内の報酬系に作用してアルコールの快感を減少させます。
アルコールの依存性に対抗する効果があり、薬のサポートを受けながら節酒や断酒に取り組むことができます。
アルコールの依存性は想像以上のものです。程度の差こそありますが、麻薬と同様の依存メカニズムによりアルコール依存が生じるのです。
アルコールの依存性を軽視せず、普段から適量の飲酒に気をつけることも重要です。
週に1回は休肝日を設けるようにしましょう。コロナ禍の制限が緩和され、外での飲酒機会が増えていますが、アルコールとの健全な関係を改めて見直す必要があります。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏