2023年7月3日(月)
不安障害になると、長期間にわたって不安や心配が一日中続くようになります。不安は誰にでもありますが、不安障害になると常に不安にとらわれ他のことを考えることができなくなります。
その結果、いつも不安でビクビクし、心が落ち着かなくなります。仕事や勉強、家事などに手がつかず、不潔が気になって何度も手を洗ったり、戸締りや消灯などの確認を繰り返しするなど、日常生活に問題が生じます。
不安障害は、多くの精神疾患の中では重症なものとはみなされていません。適切に治療すれば根治することが可能であり、将来に障害を残すことはありません。
ただし、現実には不安障害の治療を長期間受け、あまり改善しない方も存在します。これは抗不安薬を飲み続けるものの、日常生活におけるこころの持ち方と行動が変わっていないためです。
不安障害を治療するためには、不安の本質はとらわれであることを認識し、とらわれから解放されるための行動を起こすことが重要です。
不安の原因や不安についての分析に没頭し続けても、不安へのとらわれはますます強まり、根治することはありません。
不安障害は、不安について考え続ける限り解決しません。通常、問題が起きた場合には、問題について考えることが解決への第一歩となります。
しかし、不安障害への対処はまったく逆です。不安について考えれば考えるほど不安にとらわれていきます。ですから、不安について考え過ぎてはいけません。
ではどのようにしたら不安について考え過ぎなくなるのでしょうか。
不安にとらわれないためには、今やるべきことはいつも通りにすることが大切です。
不安になるといつも通り行動できなくなります。不安だから外出できない、仕事に集中できない、家事が進まないなどです。行動が停滞すると、思考は現実離れし、不安が増幅します。
日常生活の中で目下行うべきこと、具体的な行動をいつも通りに実践することで、不安から日常生活の現実に目を向けるのです。
このようにして、こころの持ち方と行動を変え、不安へのとらわれから解放される第一歩を踏み出しましょう。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏