2023年8月7日(月)
不安障害は日常生活に多くの制約と停滞をもたらします。不安になると、同じことばかり考えるようになります。
不安にとらわれ、仕事、勉強、家事などが進まなくなります。電車に乗るなど日常的な行動が困難になることもあります。健康に対する不安も強まり、些細な体調不良にも過敏になり、病院へ頻繁に通うようになることも珍しくありません。
長時間続く不安や緊張は気分を沈め、自信を失う原因ともなります。不安障害は時にうつ病に移行することもあります。
不安障害では、症状を軽減するために薬物療法が行われます。抗不安薬や抗うつ薬などの薬物は、神経伝達物質のバランスを調整し、不安症状を和らげる効果を持ちます。抗不安薬は脳の扁桃体という部位に作用し、不安や恐怖の反応を軽減する効果があります。
しかし、薬だけ飲んでいても症状は完治しません。不安とどのように向き合い、日々どのように行動すべきかを理解し、それを実践することが大切です。
不安を感じると、日常のルーティンが乱れやすくなります。同じことばかり考え続けることで、日常生活でやるべきことが疎かになります。
不安を減らすためには、いつも通りの生活を続けることが重要です。起床時間、就寝時間、食事の時間、入浴の時間などを従来通りに保ちましょう。
やるべきことをしっかりと行い、日常のルーティンを乱さないように心掛けると、同じことばかり考えなくなっていきます。不安な時は、脳が興奮しています。頭を使うよりも、実際に手を動かして行動すると良いでしょう。
不安を感じたら、それにとらわれず日常のやるべきことに集中しましょう。すると不思議なことに不安へのとらわれから解放されていきます。
神経症の治療の森田療法では、症状をあるがままに受け入れることを教えています。不安になった時に症状に驚き、あたふたするのではなく、ありのままに受け入れ、日常生活をこれまで通りに送るようにするのです。
抗不安薬や睡眠薬に頼り過ぎず、薬は補助的に使いましょう。薬に依存するだけでは、いつまでたっても完治しません、不安になってもあわてず、これまで通り行動する。このような行動指針を実践することで、不安障害は完治に向かうのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏