2023年10月9日(月)
社交不安障害は、人前で緊張して手が震える。思った通りに話せず吃る。人前で食事をするのを極度に避ける心の病気です。
過度の緊張や自律神経の乱れにより、顔の紅潮、手の汗、動悸などの身体的症状も現れることがあります。
社交不安障害の方は、人との交流が苦手で友達が少ない傾向があります。
プレゼンがうまくいかず、頭が真っ白になったり、会議で発言できずに実力に見合わない評価を受けることから、自信を失いがちです。
これらの問題は性格の問題だけに帰すべきではありません。
性格と関係している場合もありますが、多くの場合、特定のストレスがトリガーとなり、症状が初めて現れます。過去のいじめや人間不信の経験が社交不安障害の原因となっていることがあります。
近年、うつ病の治療薬であるSSRIが社交不安障害にも効果があることが明らかになり、積極的に利用されています。
SSRIは脳内のセロトニン濃度を上昇させることで、不安を軽減するのに役立ちます。
SSRIは依存性が低く、また約1年服用した後で薬を中止することも可能です。SSRIを服用すると、約半年後に症状が半減していきます。
この段階でまだ症状は残りますが、以前よりも日常生活が楽になります。
社交不安障害の治療では、このように依存性のない治療薬を使って症状を軽減し、その上で不安や緊張乗り越える成功体験を積むことが大切です。
そうすると他の場面でも不安や緊張をコントロールすることができるようになります。
社交不安障害は徐々に改善されていきます。自身の変化は気づきにくいかもしれませんが、ある時点で以前よりも緊張が少なくなることに気づくでしょう。
焦らずに冷静に治療を続けましょう。社交不安障害を乗り越え、自信を持って生活する日が必ずやってきます。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏