2023年10月30日(月)
抗不安薬は、一般に安定剤とも呼ばれ、長らく不安障害の治療に使用されてきました。その脳内の作用メカニズムは、中枢神経系を抑制するGABAの脳内作用を増強することにあります。
言い換えれば、ベンゾジアゼピン系薬物がGABAの働きを強めることで、脳内の活動がスローダウンし、それが心の不安、緊張を和らげることになるのです。
抗不安薬の長所は、服用すると約40-50分で効果が現れ、それまでの不安や緊張が劇的に和らぐことにあります。この点から抗不安薬は、特にパニック発作などの危機的な状況において効果的です。
しかし、多くの抗不安薬は効果が2-3時間で切れてしまうため、急に効果が消えることから再び服用したいと感じます。このような服薬の繰り返しが薬物依存を引き起こすことが知られています。抗不安薬の依存性は高いのです。
薬物依存を防ぐためには、抗不安薬は治療の初期段階から、あまり頻繁に使用しない方が良いのです。薬の使用が不可避である場合でも、抗不安薬は主治医の指導に従い適切な量と頻度で使うべきです。
抗不安薬の常用はできるだけ避け、必要な時にだけ最小限で使用するべきです。月間での使用回数を制限し、依存を起こさない範囲で使用しましょう。
また、症状が安定したら、抗不安薬は早めに減薬することが大切です。抗不安薬は服用する期間が長くなるほどやめにくくなります。
しかし、急激に減薬すると、不安が増強するなど精神的に不安定になります。急激な減薬でかえって薬に依存することもあります。抗不安薬を減らすときは、主治医の指導に従い、適切なスピードで減薬していくことが大切です。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏