2024年3月25日(月)
1. アルコール依存症はどのような病気か?
アルコール依存症は、飲酒を続けることにより、アルコールに対して身体的・精神的な依存が生じる精神疾患です。アルコール依存症になると、飲酒が日常生活に必要不可欠なものとなり、健康を害しても、経済的な困難が生じても、飲酒をコントロールできません。アルコール依存症は飲酒のコントロール障害と理解されています。
2. アルコール依存症の治療方法はアルコールをやめれば良いという精神論に傾きやすい
多くの方々は、アルコール依存症の治療を単にアルコールを断つことだけで解決できると考えがちです。しかし、アルコール依存性の背後には複雑な脳の化学変化があり、単なる意志の力だけでは克服することは困難を極めます。アルコールをコントロールできないのは、単に意志の力が弱いからではないのです。
3. アルコールは依存症物質であり、その強い依存性は脳内の変化による
アルコールは中枢神経系に作用し、脳内の神経伝達物質のバランスを変化させます。これにより快楽や報酬系が刺激され、依存性が生じます。脳がアルコールに頼るようになると、依存症が形成され、回復が困難になります。
4 従ってアルコール依存症の治療には、飲酒欲求を減らす薬が有効
アルコール依存症の治療には、断酒をサポートするために薬物療法が用いられます。薬物療法は、飲酒欲求を減らし、断酒を成功させるための強力な武器になります。
5. アルコール依存症はきちんと治療すれば、必ず乗り越えることができる
アルコール依存症の治療は困難なこともありますが、適切な治療とサポートを受ければ克服可能です。断酒をサポートする薬物療法や心理社会的なさまざまなアプローチを組み合わせることで、多くの方が健康的な生活を取り戻すことができます。
アルコール依存症は単なる意志の力だけでは克服できない病気であり、医療の専門家の支援を受けることが重要です。自分自身やご家族がアルコール依存症に苦しんでいる場合は、早めに専門家の相談を受けることをお勧めします。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏