統合失調症について

8月4日 月曜日

こんにちは。院長の高橋です。暑くなってきましたね。国内旅行は北海道が一番人気のようです。私も、夏休みは涼しいところに行く予定です。

行き先はここです。↓ここはどこでしょう?答えはお盆休みのブログで教えます。

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さて、今日は統合失調症についてです。

統合失調症は、病気になった当初の急性期には、主に幻覚、妄想などの症状がみられ、慢性期には、意欲の低下から自発性が乏しくなり、社会生活が困難になる病気です。

幻覚には、幻聴、幻視などがありますが、診察室でみられるものの多くは幻聴です。幻聴は文字通り、幻の声です。実際には聞こえていないことが聞こえると錯覚する。例えば、「自分の悪口をいう声が聞こえてくる。」のです。不思議と幻聴は、一人になった時や夜に聞こえてくることが多いです。

妄想の多くは被害妄想で、「誰かが自分の命を狙っている。」など自分が被害者になっていると信じ込むことが多いです。あり得ないことを事実だと信じ込んでしまうのです。

幻覚も妄想も事実に反する体験ですが、多くは自分にとってマイナスの体験として経験することが多いのは不思議なことです。プラスの体験として、自分を褒める声が聞こえてきたり、事実に反して自分ことを素晴らしいと考える妄想はほとんどありません。

幻覚や妄想に効果的なのは薬による治療です。幻聴や妄想が薬でスッキリと良くなってしまうことは非常に多いです。統合失調症ではドパミンと呼ばれる脳内物質(神経伝達物質と言います。)の働きが過剰になっているために幻覚や妄想が起きているため、抗精神病薬で過剰になったドパミンの働きを抑えることで症状を改善することができるからです。

現在使われている抗精神病薬は、約50年程前から使われるようになりましたが、それ以前には有力な治療法はなく、患者さんは社会から隔絶された生活を余儀無くされていました。

抗精神病薬は、この50年間に少しずつ進歩し、より効果的な薬が使われるようになりました。それに伴い、精神科リハビリテーションと呼ばれる部門も進歩し、薬と精神科リハビリテーション(作業療法など)で、多くの患者さんが社会復帰するようになり、入院する患者さんは少なくなってきています。

薬の進歩は、薬以外の治療法を進歩させ、薬物療法の薬以外の治療法を組み合わせて、より効果的な治療法が行われるようになりました。

私はこの仕事をしてかなり長いのですが(というか、ライフワークとして人生をほとんどこの仕事に費やしています)、薬とそれ以外の治療法を組み合わせた時の効果が最も大きいことを実感してきました。

当クリニックには、デイケアセンターを併設していますが、デイケアセンターでは薬以外の治療法を行っています。料理、お菓子作り、手芸などの軽作業に参加することにより、意欲の向上、生活リズム、対人関係の改善を目指しています。

まだ、開設後まだ10ヶ月しか経っていませんが、外来診察で薬を飲んでいただけの時より、患者さんが生き生きしてくるのをこの目で見てきました。

これからも最新の薬物療法とそれ以外の治療法を組み合わせ、患者さんの治療を進めていきたいと考えています。

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