ADHDの特性をポジティブな方向に活かす

ADHDの特性をポジティブな方向に活かす

2024年7月1日(月)

ADHD(注意欠如多動性障害)では、不注意や集中困難によるケアレスミスが一般的に広く知られています。

しかし、一部の方には、集中困難とは正反対の「過集中」と呼ばれる症状が見られることがあります。

過集中とは、特定のことに異常なまでに集中し、他のことを忘れるほど没頭する状態です。

ADHDの方は、細かなことに注意を払うことが難しく、仕事でミスが起きやすいです。集中が途切れやすく、ちょっとしたことで気が散ってしまうことが多いです。

一旦仕事を中断すると、しばらくして何をしていたのかを忘れてしまうこともあります。

しかし、過集中になると、周囲の音や時間の経過を完全に無視してしまい、まるでADHDでないかのように見えることがあります。

ADHDに見られる過集中の特徴は、自分の興味のあることに集中する点です。興味を引かれるものには過度に集中し、一方で本来集中すべきことには全く集中できません。

過集中していると、夜も寝ずに没頭し、生活リズムが乱れ、体調を崩すことがあります。

過集中すると、仕事の取り組みが飛躍的に進むことがあります。通常では難しいと思われる課題を短時間で達成でき、過集中の間は高い生産性を発揮します。

しかし、過集中には注意が必要です。過集中が原因で他の重要な日常生活でなすべきことを忘れてしまうことがあります。

また、長時間にわたる過集中は体力や精神的なエネルギーを消耗させ、疲労感や倦怠感の原因になります。過集中の結果、体調を崩し、本来集中すべきことに集中できなくなることもあります。

過集中をうまく活用するためには、他のタスクとのバランスを取ることが重要です。まず、どのような状況で過集中が発生しやすいかを知ることが大切です。

その上で、タイマーを設定し、定期的に休む時間を確保するようにしましょう。興味のあることに集中しすぎて、体調のバランスを崩さないよう注意することが重要です。

ADHDの過集中は、適切に対応すれば強みとなり得ます。過集中の力を理解し、ADHDの持つエネルギーを最大限に活用することで、日々の生活や仕事において高い成果を上げることが可能です。

他のタスクとのバランスを保ちながら過集中をうまく利用することで、ADHDの特性をポジティブな方向に活かすことができるのです。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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