2024年9月16日(月)
うつ病の特徴的な症状の一つが「気分の波」です。
これは、気分が大きく落ち込んだり、逆に少しハイな気分になったりする状態を指します。
うつ病を患っている方々は、この気分の変動に日常生活が左右されることが多く、仕事や人間関係、日常のささいな活動にも大きな影響を受けます。
この不安定な気分の変化が、さらなるストレスを引き起こし、病状を悪化させる原因となります。
特に、この気分の波は予測が難しく、コントロールが困難なため、大きなストレスの要因となります。
しかし、うつ病を克服するためには、気分の波にどのように対処していくかが重要なポイントです。
では、どのような対策が有効なのでしょうか?
うつ病の気分の波には、「日内変動」と呼ばれる現象があります。
これは、朝に気分が最も落ち込み、夕方から夜にかけて徐々に回復するという特徴的なパターンです。
このパターンが判で押したように日々繰り返されます。
このため、朝の時間帯に仕事や活動を開始するのが難しいと感じることが多いのです。
この現象は、うつ病によりコルチゾールというホルモンのバランスが乱れることで引き起こされるため、心理的な問題というよりも生物学的な要因が関与しています。
日内変動に対処するためには、抗うつ薬による治療や規則正しい睡眠が効果的です。
規則正しい生活を送ることで、体内のリズムが整い、気分の波を軽減することができます。
特に、毎日同じ時間に起床・就寝すること、バランスの取れた食事、適度な運動が、気分の安定に役立ちます。
また、気分の波に対しては「抵抗するのではなく、受け入れる」ことが重要です。
無理に気分を良くしようとせず、その時にできる範囲で日常生活を続けることを目指します。
これにより、気分の波に振り回されずに少しずつ前向きな生活を築くことができます。
うつ病には気分の波がつきものですが、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることができます。
規則正しい生活を送り、無理をせずに行動することで、気分の波に打ち勝ち、前向きな生活を送ることが可能です。
焦らず時間をかけて適切に対処していけば、気分の波は徐々に小さくなり、長期的には必ず安定した気分を取り戻すことができます。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏