森田療法から見た神経質性格の生かし方:不安を成長の力に変える

2024年11月4日(月)

不安や緊張は多くの人が抱えていますが、特に神経質な性格の人は、物事にとらわれやすく、そのために生きづらさを感じやすい傾向にあります。

しかし、森田療法の視点では、不安を抱えながらも行動することで「とらわれ」から自然に解放され、神経質な性格がむしろ強みとして発揮できると考えられています。

1. 神経質性格とは?
神経質性格とは、内向的、自己内省的、心配性で敏感、そして完全主義、理想主義、頑固さや負けず嫌いなどを併せ持つ性格です。

これらの特性が重なることで内的な葛藤を生じやすく、物事に対して細かくこだわる性格が形成されます。また、不安や「とらわれ」を感じやすいのも特徴です。

森田療法では、不安とは「より良く生きたい」「理想に近づきたい」という人間の根源的な欲求(生の欲望)の裏返しとされています。

そのため、神経質性格を持つ人は現状に対して不満足を感じ、自己をより良くしようとする強いエネルギーを持っているのです。

2. 神経質性格の長所
神経質性格は、不安や緊張が多いですが、これを強みとして生かすことができます。

① 神経質性格の人は、物事の細部にまで気を配ることができます。このため、仕事や日常生活において小さなミスを未然に防ぐことができ、特に細心の注意が求められる場面で力を発揮します。

② 神経質性格の人は、物事を最後までやり遂げようとする責任感が非常に強いです。そのため、仕事では「頼れる人」として信頼されることが多く、周囲の人からも信頼を得やすいです。

③ 神経質性格の人は、自分を見つめ直す力があり、自己への問いかけや内省を行う傾向があります。自分を見つめ直すことで、自分の成長や改善すべき点を見つけやすく、長期的に自己成長を促すことができるのです。

④ 神経質性格の人の「完全主義」や「理想主義」は、不安や葛藤を生み出しやすいですが、同時に成長のきっかけにもなります。理想を掲げ、その実現を目指してコツコツと努力を重ねることで、自分の可能性を引き出す力を持っています。

3. 森田療法の考え方:不安と共に生きる
森田療法では、不安や恐怖を無理に排除しようとするのではなく、それらを「あるがまま」に受け入れて行動することを勧めています。

不安があっても「いつも通り」の行動を続けることで、次第に「とらわれ」から解放されると考えられています。

4. 行動による「とらわれ」からの解放
森田療法の具体的なステップは以下の通りです。

① 不安があっても行動を続ける

不安があると、それにとらわれて行動が止まってしまうことが多いです。不安があっても、不安をそのまま受け入れて「いつも通りに行動する」ことが大切です。こうして行動を続けることで、不安や「とらわれ」が徐々に薄れていきます。

② 行動の積み重ねが自信を生む

不安に振り回されずに行動を続けることで、「不安があっても自分は不安に振り回されない」という自信が少しずつ生まれてきます。こうした自信が、神経質性格の強みである「細かなことに気がつく」「責任感が強い」といった特性をさらに活かします。

まとめ
神経質性格が持つ不安や緊張は「より良く生きたい」という欲求と結びついています。

森田療法の考え方を実践することで、「とらわれ」から解放され、神経質性格が強みに変わります。細かなことに気づき、責任感が強い神経質性格は、多くの場面で貴重な強みとなるのです。

不安があっても、「とらわれ」から解放されることで、不安を成長の力に変え、神経質性格を活かしていきましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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