2024年12月16日(月)
うつ病は「心の病気」として知られていますが、身体にも大きな影響を及ぼします。うつ病になると免疫力や自律神経のバランスが乱れやすくなり、それがさまざまな病気の発症や悪化につながります。
さらに、うつ病と同時に身体疾患を抱えることは、患者さんにとって大きな苦痛となり、うつ病の回復を遅らせる原因にもなります。しかし、身体の病気を適切にケアすることで、うつ病からの回復を早めることかできるのです。
うつ病になるとかかりやすくなる病気10選
1. 風邪やインフルエンザ
うつ病では免疫力が低下し、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
* 原因: ストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌が免疫機能を低下させる。
* 対策: 栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、手洗い・うがいを徹底。
2. ヘルペスウイルス感染症
ヘルペスウイルスによる症状が出やすくなります。特に、唇や口の周りにできる「口唇ヘルペス」や、帯状疱疹が発症しやすいです。
* 原因: 免疫力低下により潜伏していたウイルスが再活性化。
* 対策: 十分な休息、ストレス軽減。
3. メニエール病
メニエール病は、めまいや耳鳴り、難聴を引き起こす病気で、ストレスや自律神経の乱れが関与しています。うつ病の方は特に発症リスクが高いとされています。
* 原因: 精神的ストレスが内耳のリンパ液の流れを乱す。
* 対策: ストレスケアを意識した生活習慣、症状があれば早期に耳鼻科受診。
4. 胃腸の不調(胃炎・過敏性腸症候群)
胃腸の不調は、うつ病に伴う代表的な身体症状の一つです。胃炎や過敏性腸症候群(IBS)などの疾患に発展することもあります。
* 原因: 自律神経の乱れやストレスが消化器官に影響。
* 対策: 消化に良い食事を心がけ、無理をしない生活を送る。
5. 高血圧
慢性的なストレスが続くと血圧が上昇し、うつ病の人は高血圧のリスクが高まります。
* 原因: ストレスホルモンが交感神経を刺激し、血管を収縮させる。
* 対策: 減塩食、適度な運動、リラクゼーション法を取り入れる。
6. 心疾患(心筋梗塞・狭心症)
うつ病は心疾患のリスクを高めます。心筋梗塞や狭心症の発症リスクが高いことが研究で明らかになっています。
* 原因: ストレスや高血圧が血管に負担をかける。
* 予防: 定期的な健康診断と生活習慣の見直し。
7. 糖尿病
うつ病は糖尿病の発症リスクを高め、逆に糖尿病がうつ病を悪化させることもあります。
* 原因: ストレスホルモンが血糖値を上昇させるほか、生活習慣の乱れが影響。
* 対策: 栄養バランスの取れた食生活と適度な運動を意識する。
8. 肥満
うつ病では過食や運動不足が続き、体重が増加しやすくなります。
* 原因: ストレスによる過食や活動量の低下。
* 対策: 無理のない範囲で食事管理と軽い運動を取り入れる。
9. 関節痛・筋肉痛
うつ病の影響で関節痛や筋肉痛といった慢性的な痛みが現れることがあります。
* 原因: ストレスによる筋肉の緊張や自律神経の乱れ。
* 対策: ストレッチやリラクゼーション、定期的な軽い運動。
10. 皮膚疾患(アトピー性皮膚炎・じんましん)
皮膚のバリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎やじんましんの悪化が見られることがあります。
* 原因: 免疫力低下やストレスが皮膚の健康に影響。
* 対策: ストレスケアと皮膚科での適切な治療を受ける。
身体の病気をケアすることでうつ病の回復が早まる
うつ病は精神だけでなく、身体にも大きな影響を与えます。身体疾患はうつ病の回復を遅らせる要因となり得ますが、身体疾患を適切にケアすることで、心身ともに健康を取り戻すことができます。身体の不調を放置せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏