2025年1月27日(月)
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、注意力不足や衝動性、多動性を特徴とする発達障害です。特に大人のADHDでは、「併存疾患」としてうつ病や不安障害を抱えるケースが多く、対処に頭を悩ませることが少なくありません。
ADHDとうつ病の関係
ADHDの特徴である「ミスが多い」「時間管理のが難しい」は、仕事や人間関係のつまづきを引き起こし、自己肯定感が低くなります。このような挫折体験が積み重なることで、うつ病を発症するリスクが高まります。うつ病が併存すると、エネルギーの枯渇から集中力の低下が加速し、生活に大きな影響を及ぼします。
ADHDと不安障害の関係
不安障害は、日常的な出来事に対して過剰な不安、心配、恐怖を抱く疾患です。ADHDの症状によるミスや対人関係の問題が不安を引き起こし、その不安が集中力や判断力を低下させることで、さらに問題が悪化する悪循環に陥りやすいです。
ADHDと併存疾患による生活の質の低下
ADHDと併存疾患は、以下のように生活の質(QOL)を低下させます:
* 仕事の継続が難しくなる:注意力不足や感情の不安定さが原因でミスや評価低下が重なり、職場でのストレスが増大します。
* 対人関係の悪化:衝動的な行動、または不安による自己防衛が原因で人間関係に摩擦が生じます。
* 身体的な健康問題:うつ病や不安障害が続くと睡眠不足や疲労が慢性化し、身体的な健康にも悪影響を及ぼします。
* 自己肯定感の低下:ADHDの症状や併存疾患が成功体験を妨げ、「自分は無価値だ」と感じる状況が続きやすくなります。
対処法
専門医のもとでADHDとうつ病、不安障害の症状を総合的に評価し、治療計画を立てる必要があります。薬物療法では、ADHDの治療薬や、うつ病・不安障害に対する抗うつ薬(SSRIやSNRI)が有効です。これらを併用する際は、医師の指導を受けることが不可欠です。
また、睡眠リズムの改善や運動の習慣化、ストレス管理も症状の軽減に効果があります。家族や友人、職場の同僚にサポートしてもらい、問題を1人で抱え込まずに対応することも大切です。
まとめ
ADHDと併存するうつ病や不安障害は、仕事や人間関係、健康面などあらゆる側面で生活の質を低下させます。しかし、適切な診断と治療により改善が期待できます。一人で抱え込まず、専門家に相談しながら、問題解決の第一歩を踏み出しましょう。ADHDと併存するうつ病や不安障害は、必ず乗り越えることができます。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏