2025年2月10日(月)
アルコール依存症の治療では、軽度であれば節酒が可能ですが、依存症の症状が強い場合は断酒が必要になります。では、断酒が必要な場合、いつまで続けるべきなのでしょうか?
アルコール依存症は慢性疾患であり、断酒が必要な程度であれば、基本的に生涯にわたる断酒が必要になります。一度アルコール依存症になると、少量の飲酒でもコントロールが難しくなり、再発のリスクが高まるためです。
アルコールの依存性を甘く見てはいけません。「少しだけなら大丈夫」と思って飲み始めたことで、元の依存状態に戻るケースは多く、再発を防ぐためにも断酒の継続が重要です。
アルコール依存症の中には、節酒でコントロールできる場合もあります。健康診断で飲酒量を減らすよう指摘され、自己管理できる人は節酒が可能です。
しかし、一度飲み始めると止められない、仕事や家庭に支障をきたす、朝から飲酒してしまうといった場合は、節酒ではなく断酒が必要です。
断酒を続けるためには、定期的な通院と薬物療法が有効です。飲酒欲求を抑える薬やを活用することで、飲酒欲求を軽減できます。
また、自助グループへの参加も有効で、同じ悩みを持つ人々と交流しながら断酒を継続しやすくなります。家族の理解とサポートも重要で、家族が適切な対応を学ぶことで、断酒を続ける助けになります。
アルコール依存症は、治療を続ける必要がある病気です。「少しだけなら」と考えると再発しやすく、慎重に対応することが必要です。
適切な治療やサポートがあれば、健康な生活を取り戻すことは十分可能です。自分に合った治療計画を立て、断酒を続けることが、回復への鍵となります。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏