大人の発達障害:気づきにくい症状と対処法

2025年2月24日(月)

発達障害は子どもだけのものではなく、大人になってから気づくケースも少なくありません。特に、注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)は、周囲に適応する中で見過ごされやすいことがあります。

大人の発達障害とは?

大人の発達障害には主に、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などがあります。

ADHDの特徴としては、集中力の維持が難しく、注意散漫になりやすいことが挙げられます。ASDでは、対人関係の苦手さや特定のこだわりが強い傾向が見られます。LDは、読字や書字、計算などの特定の学習分野に困難を抱える障害です。

これらの発達障害は、大人になってからも日常生活や職場での適応に影響を及ぼします。

子どもの発達障害との違い

子どもの発達障害と大人の発達障害にはいくつかの違いがあります。子どもの場合、学校生活や家庭内での行動の中で症状が顕著に表れやすく、周囲の大人が気づくことが多いです。

しかし、大人の場合は、生活の中で培った経験や環境への適応により、症状が目立ちにくくなることがあります。そのため、「なんとなく生きづらい」と感じながらも、発達障害に気づかずに過ごしているケースが少なくありません。また、子どもに比べて社会的なルールや期待に適応しようとする意識が強いため、無理をして疲れやすくなることも特徴の一つです。

大人の発達障害の特徴

発達障害の症状は個人差が大きく、環境や状況によって現れ方が異なります。例えば、注意力が持続しにくく、仕事や日常生活でミスが増えやすいことがあります。時間管理が苦手で、約束の時間を忘れたりスケジュール通りに動くことが難しいと感じることもあります。

対人関係では、相手の気持ちを読み取るのが苦手なため、会話のキャッチボールがうまくいかず、すれ違いが生じることがあります。また、こだわりが強く、特定のルールやルーチンに固執しやすい傾向があり、柔軟な対応が求められる場面で困難を感じることもあります。些細なことでイライラしやすく、感情のコントロールに苦労することも特徴の一つです。

大人の発達障害の影響

発達障害に気づかずにいると、日常生活にさまざまな困難が生じることがあります。例えば、職場での評価が低くなりやすく、思うように仕事が進まないことでストレスを感じることが増えます。

また、コミュニケーションのズレが原因で人間関係のトラブルが多くなりがちです。こうした状況が続くと、自己肯定感が低下し、ストレスや不安が蓄積しやすくなります。その結果、二次的な精神的問題(うつ病、不安障害)を引き起こすこともあります。

対処法とサポート

発達障害の特性を理解し、日常生活をスムーズにするための工夫を取り入れることが大切です。スケジュールを細分化し、アラームやリマインダーを活用することで時間管理の負担を軽減できます。作業環境を整え、気が散る要素を減らすことで、集中しやすい環境を作ることも有効です。

また、コミュニケーションの工夫も重要です。相手の立場に立って考える習慣をつけることで、誤解を減らし、円滑な対話が可能になります。ストレス管理としては、適度な運動や趣味を取り入れ、リラックスする時間を確保することが有効です。必要に応じて心療内科や精神科に通院することも、適切な支援を受けるための選択肢の一つです。

大人の発達障害は周囲に理解されにくいことが多いため、自分自身の特性を把握し、適切な対処をすることが重要です。日常生活で困難を感じたときは、一人で抱え込まずに専門家の助けを借りることで、より良い生活を送るための工夫ができます。自分に合った方法を見つけ、無理なく続けられる対処法を取り入れていきましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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