2025年5月19日(月)
うつ病、双極性障害、不安障害などを抱える多くの方が、日々の生活の中で次のようなことを感じています。
- 「気分が良い日もあれば、まったく乗らない日もある」
- 「やる気がある日は動けるけれど、次の日は何もできない」
- 「調子が悪い日が続くと、生活そのものが滞ってしまう」
このような「気分の波」と、どのように向き合っていけば良いのでしょうか?
治療中に起こりやすい気分の波
治療中には、良くなったと感じても、再び落ち込むといった気分の波が起こることは珍しくありません。
ある程度調子が戻ってきたように見えても、気分の上下は誰にでも起こりうるものです。
しかし、このときに「調子の良いときだけ活動し、悪いときはすべてを止めてしまう」という行動パターンに陥りがちです。
これでは気分の波に振り回され、生活のリズムが乱れ、症状が不安定になる原因となります。
「最低限のルーティン」が安定への鍵
気分の波に過度に左右されないためには、服薬に加えて、毎日決まったルールの中で行動を続けることが重要です。
ここで大切なのは、「無理なく続けられる最低限のルーティンを決める」こと。
体調が優れない日でも実行できる範囲の行動であることが前提です。
欲張らず、「頑張ってこなすべき習慣」ではなく、
「これだけは毎日必ず行う」という生活の土台となるものを作りましょう。
最低限のルーティンの例(あくまで一例です)
- 毎朝、決まった時間に起床する
- 毎日、同じ時間に食事をとる(例:朝7時、昼12時、夜18時など)
- 毎日、午前中に10〜20分程度の散歩をする
- 夜は、決まった時間に就寝する
このように、その日の体調に合わせて続けやすい習慣を持つことが、生活全体の安定につながります。
まとめ
気分の波に打ち勝つためには、波があることを前提に、
最低限のルーティンを崩さずに、淡々と日々の生活を積み重ねていくことが大切です。
そうすることで、「今日は調子が悪くても、これだけはできた」という小さな達成感が積み重なり、自信につながります。
治療は薬物療法だけではありません。
規則正しい生活リズムと、無理のない行動習慣があってこそ、心と体の安定が保たれるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏