気分が晴れない梅雨どきに ― 季節の不調とどう付き合うか

2025年6月16日(月)

梅雨の時期、なんとなく気分が沈んだり、「疲れが抜けない」「眠いのに寝た気がしない」といった体の不調を感じる方は少なくありません。
これは単なる気のせいではなく、梅雨の季節特有の“心と体の疲れ”かもしれません。

なぜ梅雨に不調が出やすいのか?

梅雨は、気圧の低下、湿度の上昇、日照時間の減少といった気象の変化が重なり、私たちの心身のバランスを保つ自律神経の乱れを引き起こしやすい季節です。

自律神経は、体を活動させる「交感神経」と、体を休ませる「副交感神経」が交互に働くことで、心身の状態を整えています。
ところが、梅雨の気候変動によってこの切り替えがうまくいかなくなると、次のような不調が現れやすくなります。

  • 体がだるい、重い
  • 頭痛、肩こり、めまい
  • 寝ても疲れが取れない
  • 気分の落ち込み、イライラ
  • やる気が出ない、集中できない

特に、うつ病などの気分障害を抱えている方は、自律神経の調整機能がもともと不安定なため、こうした外的ストレスの影響をより強く受けやすい傾向があります。

また、このような季節の影響で起こるうつ状態は「季節性うつ病(季節性感情障害/SAD)」と呼ばれることがあります。
多くは冬季に発症しやすいとされますが、梅雨や夏前に同様の症状を訴える方も少なくありません。

「朝起きられない」「気力が出ない」「甘いものを過剰に食べたくなる」「寝ても寝ても眠い」などの症状が続く場合は、
季節性うつ病の可能性も考慮し、早めに専門家へ相談することが大切です。

無理に元気を出そうとしない

体調が優れないと、「ちゃんとやらなきゃ」「怠けているだけでは?」と考えてしまいがちです。
しかし、無理に元気を出そうとすると、かえって不調を悪化させてしまうことがあります。

気分が落ち込んでいるときに無理をすると、次のような悪循環に陥ることがあります。

  • 日中に交感神経が過剰に働き、疲れやすくなる
  • 夜になっても気持ちが切り替わらず、眠れない
  • 翌日に強い疲労感や気分の落ち込みが反動として現れる

だからこそ、「今はそういう時期なんだ」と一度立ち止まり、“がんばる”よりも“心身を整える”ことを意識することが大切です。

梅雨どきを快適に過ごす3つのヒント

1. 朝のリズムを整える

  • 朝の光を浴びる(曇りの日でも効果があります)
  • 起きる時間を固定する
  • 朝の行動をひとつ決めておく(窓を開ける、洗顔するなど)

→ 体内時計が整うことで、自律神経の働きも安定しやすくなります。

2. 湿度と空気をコントロールする

  • エアコンの除湿機能や除湿器を活用
  • 空気清浄機やサーキュレーターで空気を循環
  • 寝具を干す、換気をこまめに行う

→ 身体の重だるさや不快感が軽減され、睡眠の質も向上します。

3. 食事と水分をおろそかにしない

  • 温かい飲み物やスープ類で体を冷やさない
  • 食欲が落ちても、1日3食のリズムを保つ
  • 梅干しや香味野菜などを取り入れて気分転換を

→ 栄養の偏りを防ぐことで、心身の回復力が維持されます。

まとめ ― 「季節のせいかも」と気づくだけでも違います

梅雨の時期は、誰にとっても心身のバランスを崩しやすい季節です。
気分が沈んだり、体調がすぐれなかったりするのは、自分のせいではなく、季節的な要因が関わっている可能性があります。

そして、必要であれば、無理をせず、心療内科などの専門家に相談することも大切な選択肢の一つです。

この時期をどう過ごすかによって、夏を心地よく迎えられるかが変わってきます。
できることから、少しずつ整えていきましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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