もしかして私?2年以上続く心の不調「気分変調症」のサインと治療法

もしかして私?2年以上続く心の不調「気分変調症」のサインと治療法

2025年10月20日(月)

「日常生活はできるが、なんとなく気分が晴れない」。
仕事や家事はこなせるのに、心のどこかが重い――そんな日々が2年以上続いていませんか。
その状態が長く続いているなら、気分変調症(持続性抑うつ障害)の可能性があります。これは怠けや性格の弱さではなく、脳の働きのバランスの乱れによって起こる病気です。

1. 「動けるけれど心が晴れない」慢性的な心の重さ

「朝から気分が重い」「何をしても楽しめない」「自分を責めてしまう」。こうした状態が続いていても、周囲からは「性格の問題」「疲れのせい」と受け取られがちです。しかし本人にとっては、日々が灰色に感じられるような慢性的な苦痛が続いています。この「軽いうつ状態が長く続く」不調が積み重なると、心のエネルギーがすり減り、やがて本格的なうつ病に発展することもあります。

2. 気分変調症とうつ病の違い

どちらも抑うつ状態を伴いますが、期間と重症度が異なります。気分変調症は比較的軽い落ち込みが2年以上続くのが特徴で、病気と気づかれにくい傾向があります。一方、うつ病は短期間で強い抑うつや無気力が現れ、日常生活が立ち行かなくなるほど症状が重くなります。つまり気分変調症は「動けるけれど心が晴れない」状態が年単位で続く病気で、放置すると、うつ病を併発することもあります。

3. なぜ気づかれにくいのか

青年期から気分の落ち込みが続き、「昔からこうだった」と思い込む人もいます。真面目で責任感が強く、周囲に心配をかけまいと頑張り続ける傾向もあります。そのため病気と気づかれず、長く苦しむケースが少なくありません。「自分の性格だから仕方ない」と諦めず、専門家を頼ることが回復の第一歩です。

4. 回復への道筋 ― 改善のためにできること

適切な治療と生活の工夫で改善できます。

治療の目標:
短期的には「毎日を少しずつスッキリ過ごせるようにすること」。長期的には気分を安定させ、うつ病の発症を防ぐこと。

主な治療:
薬物療法 ― 抗うつ薬などで脳の働きを整え、心の重さを少しずつ軽くしていきます。焦らず継続が大切です。
生活リズムの改善 ― 睡眠・食事・休息のバランスを保ち、規則正しい生活を心がけましょう。
自己肯定感を育てる ― できなかったことよりも「できたこと」に目を向ける小さな積み重ねが回復を支えます。

おわりに

気分変調症は、怠けや性格の弱さではなく、脳の働きのバランスの乱れによって起こる病気です。長く続く心の重さにも、必ず軽くなる道があります。焦らず、自分のペースで少しずつ回復を目指していきましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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