しっかりしなきゃ、と思うほど心は重くなる
年が明けて一週間ほど経ちました。
そろそろ日常のリズムに戻さなければ、と思う頃です。
診察室では、こんな声をよく耳にします。
「そろそろ、なんとかしなきゃいけないと思っているんですが……」
「正月気分はもう終わったはずなのに、身体がついてきません」
「また調子を崩しそうで、がっかりしています」
不眠、動悸、息苦しさ、疲労感、気分の落ち込み。
こうした話を聞くたびに思うのは、
多くの方は“できていない”のではなく、
しっかりしようとしすぎて、かえって苦しくなっているのではないか、ということです。
心と身体は、しっかりしようと思ってもしっかりできるものではありません。
無理に頑張ろうとすると、心は重くなり、行動することが億劫になっていきます。
これは怠けや甘えではありません。
無理をしているという、身体からのサインです。
不眠や動悸、息苦しさ、疲労感などの症状は、
「いまのままではつらい」「少し調整が必要だ」ということを、
症状という形で教えてくれているのです。
「症状と向き合う」とは、
我慢することでも、気合で乗り越えることでもありません。
身体の声に耳を傾け、対話することです。
今日はどこまでなら無理がないか。
今日はどこで休めばよいか。
何をすると、翌日つらくなるのか。
そんなことを確かめながら、
自分に合った一日を過ごしていく。
これを続けていくと、少しずつ人と比べなくなっていきます。
他人のペースよりも、
「いまの自分に合う過ごし方」を大事にするようになるからです。
人と比べて、自分を責める生き方は、こころを消耗させます。
自分の身体の声を聴きながら、自分に合った一日を過ごす生き方は、
こころを少しずつ楽にしていきます。
年明けは、「早くいつものペースにしなきゃ」と思いやすい時期です。
しかし必要なのは、無理をすることではなく、
この一年を、自分のペースで生き直していく準備をすることです。
今日はどこまでなら無理がないか。
今日はどこで休めばよいか。
そんな小さな調整を重ねながら、
自分に合った一日を過ごしていく。
それが、いちばん確実な回復の道です。
無理せず、自分のペースで行きましょう。
その積み重ねが、心と身体を少しずつ整えていきます。


