思うようにできない自分を責めなくなったとき、うつ病は回復を始めます
2026年1月19日(月)
診察室では、次のような言葉をよく耳にします。
「こんな自分ではいけないと思うのに、なかなか体が動きません」
「周りに迷惑をかけていると思うと、申し訳ないです」
「もっと頑張らなければと思うほど、つらくなります」
このような訴えはうつ病の方にとてもよく見られます。
うつ病になると、これまで当たり前にしていた役割が果たせなくなります。仕事、家事、家族への気遣い、人づきあい。できていたことができなくなると、「自分はダメだ」という自責が強くなります。
この自責はうつ病を悪化させてしまいます。自分を責めれば責めるほど、気力は落ち、体は重くなり、思考は否定的になります。その結果、ますます動けなくなる。これはうつ病が作り出す悪循環です。
「できない自分」を無理に変えようとしないようにしましょう。多くの方は回復のために「もっと頑張らなければ」と考えます。しかし、うつ病は気合でよくなる病気ではありません。むしろ、「いまはできない自分」を受けとめたときに、回復し始めます。
そのためには、身体の声に耳を傾けることです。
不眠。夜中に目が覚める。
動悸、息苦しさ。
疲労感、集中力の低下。
気分の落ち込み。
こうした症状は怠けや甘えではなく、「これ以上無理をしないでほしい」という身体からの声です。
「症状と向き合う」とは、耐えることではありません。身体の声と対話することです。
今日はどこまで動いて良いのか。
どこで休めば楽になるか。
何をすると翌日に無理が出るか。
こうした問いかけをしながら、生活を調整していくと回復し始めます。
このように考えるようになると、気持ちに変化が起こります。
「なぜ自分はできないのか」と自分を責めず、「今日はどこまでなら無理がないか」と自分の身体と相談するようになります。
他人のペースは自分の身体には当てはまりません。人と比べるのではなく、自分の身体と対話するのです。
うつ病の回復は一直線ではありません。調子の良い日もあれば、悪い日もあります。調子の悪い日に「またダメだ」と自分を責めないことが何より大切です。
思うようにできない自分を責めなくなったとき、うつ病は回復し始めます。
身体の声を大切にしながら、自分の体調に合った一日を過ごしましょう。このように日々を過ごすと、うつ病は回復するのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏


