良くなろうとするほど、苦しくなる
2026年2月16日(月)
診察室で話していると、こんな言葉をよく聞きます。
「早く治さないといけない」
「このままではいけないと焦ります」
つらい状態が続けば、こう思うのは無理のないことです。
以前の自分に戻りたい。
早く良くなりたい。
しかし、不安や抑うつでは、この“早く良くなろうとする気持ち”が、かえって空回りしてしまうことがあります。
体調には波があります
良い日もあれば、悪い日もあります。
ところが、「治そう」と強く意識するほど、体調の波に振り回されやすくなります。
「今日は調子がいい。もう治ったかもしれない」
しかし、次の日に悪くなると、
「やっぱりだめだ。また悪くなった」
このようにして心が揺れ続けます。
症状そのものより、この心の揺れによる消耗を、より大きな苦痛に感じることが少なくありません。
不安障害やうつ病では、
状態を良くしようと思うほど、意識は自分の内側に向いていきます。
体調が大丈夫かと確かめる。
変化を気にする。
何とかしようとする。
その行動が、症状へのとらわれを強めていくのです。
回復は、症状のことを気にしすぎると、かえって妨げになってしまいます
調子の良し悪しをいったん脇に置く。
良い日か悪い日か、考え過ぎないようにする。
そのまま、今やるべきことを続ける。
症状の波があっても、できるだけ毎日同じように過ごす。
自分の症状を意識する時間が減っていくほど、心と身体は自ずと回復へと向かっていきます。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏


