心の病気は現代病とも言われ、ストレス社会の中で心の病気になる人は少なくありません。たとえばうつ病や適応障害になる人は確実に増えていますし、心の病気が原因で休職する患者も年々多くなっています。
心の病気の大変さ、苦しさは、それを体験した患者さんや家族でないとわからないところがあります。また、治療が長期化しやすいことから、心の病気を予防することが非常に大切であることがわかります。
心の病気を予防するためには、メンタル面が強くなる必要があります。どのようにしたら、折れない心をつくることができるのでしょう?
ストレスに強くなるためには、ストレスに対する耐久力や環境変化に対する適応力をつけることが必要です。心の病気は、ストレスによって心が押しつぶされてしまったり、周囲の環境変化に適応できないために発病してしまうことが少なくないからです。
ストレス耐久性について言えば、心の病気になる前に耐久性を強くしておくことが必要です。ストレス耐久性が強ければ、心の病気になる可能性は小さくなります。逆に心の病気になるとストレス耐久性が低下し、心の病気が治った後でも、より小さなストレスで再発してしまうことが多くの心の病気で知られています。
ストレス耐久性を強くするためには、物事をありのままに受けとめ、動じないようにすることが必要です。自分にとって好ましいこともそうでないことも、ありのままに受けとめてジタバタしない。愚痴もできるだけ言わないようにするのです。たとえ自分に取って好ましくないことが起きてもあわてない。そのことを受けとめて何とか自分なりにそれを消化しようとするのです。
人生を生きていく中で、自分にとって好ましくない出来事は避けられません。ある一定の確率で必ず起こります。その時にどういう態度をとるかでストレス耐久性が変わってくるのです。
自分にとって嫌なことを避けて、逃げ回っているばかりでは、ストレス耐久性は身につきません。嫌なことでも、ストレスになってもすべきことはする。このような生活態度が大切です。
ストレスに耐え、これを消化しようとする生活態度は苦痛を伴いますが、このような苦痛に耐え、日常生活のペースを乱さないようにし、自らのなすべきことをきちんとしていく中でストレス耐久性が徐々に身についてくると思います。
院長 高橋道宏