1月5日 月曜日
新年明けましておめでとうございます。年末年始は暖かいところで休養していましたので、またまた元気になって今日からクリニックに戻って来ました。今年もよろしくお願いします。
さて、体重が増えて困る。何か良いやせ薬はありませんか?という相談がとても多いです。私の仕事は精神科医ですが、これではまるで内科医にでもなったようです。 痩せるために民間のダイエットプログラムに多額のお金を支払った患者さんもいるようで、本当に良いやせ薬ができたら、爆発的に売れるブロックバスターになるのは間違いありません。製薬会社さん頑張って下さい。
精神科の患者さんも、近年は体重増加に悩まされています。かつては「うつ病になったら食欲低下から体重が減る」と教科書通りの患者さんが多かったのですが、最近はストレスから過食、そして体重増加に至るケースが多くなりました。 「このような場合どう対処すべきか?」はまたの機会にブログで書きたいと思いますが、今日のお話は心の体重についてのお話です。 前置きが長くなりました。
皆さん、人とお話していて心が重いと感じることはありませんか?相手の言っていることはもっともに聞こえるけど、どこか腑に落ちない。話していると、こちらの心が重くなっていく。誰でもこんな経験ありますよね。相手が同じことばかり何回も言っていたり、こちらに過度に依存的だったり、こちらに執着している時に起きやすいと思います。
人間何らかの理由で心が重くなることもあるので仕方ありませんが、相手に重いと感じられてる時は、話している本人も心が重くなっています。こんな状態でいくら人に話してもますます重くなるばかりで、ちっとも楽にはなりません。そのうち心の病気なってしまうと大変です。
心の病気になる過程の中で、初めに心が重くなっていることはしばしば見受けられます。患者さん本人もそうですし、家族を巻き込んで心が重くなり、そのうちに発病というケースは多いですね。教科書にはちっともそんなことは書いてないんですが、日常診療の中では良く見受けられます。
心が重くなる理由の一つは、心の視野狭窄。一つのものしか見えない。それに執着する狭い心。世の中にはもっと色々な世界、いろいな価値観があるということに気がつけば、もっと心が軽くなると思います。
特に、価値観の問題は大きくて、あまりガッチリした一つの価値観にハマってしまい、「自分の考え以外に正しいものはない」などと柔軟性がないと、ストレスがかかった時に自分を差し置いて人を強く批判するようになってしまいます。
日本には「村八分」という言葉がありますが、これは一つの価値観しか認めず、それに従わなければ集団から拒絶し、排除する行為です。日本的な「いじめ」の構図は「村八分」と大して変りません。このような単一的価値観に基づく行動がどれだけ個人の心を傷つけるかは、心の病気になった方のかなりの割合の方に子供時代のいじめ体験があることから推し量ることができます。
誰でも人生の経験値は限られていて、世界はまだまだ広いのです。狭いところで右往左往しているから切羽詰まって、心が重くなるのです。 いろいろな世界、いろいろな価値観があることに気づき、いろいろな体験から人生の経験値を高めましょう。日頃から自分を縛るものを整理し、自分らしく楽しく生き生きと生きること。簡単に人を批判しないこと。
こんな風に心を軽くしていけたら、心に余裕が出てきます。メンタルな病気なんて怖くありませんね。心の体重を減らしましょう。