2017年4月10日
うつ病が良くなってくると、気分がスッキリし、身体も軽くなります。病気になる前と同じように、何でもできるような気持ちになります。長いうつのトンネルを抜けたのですから、無理もありません。うつの時にやりたくてもできなかったことがたくさん溜まっています。やっと元気になったのだからと、溜まっていた仕事を一気に片付けたくなります。
しかし、このような行動はとても危険なのです。一見良くなったように見えても、ちょっと無理をするだけですぐに体力と気力の限界を越えてしまうからです。限界を越えてしまうと、また調子が悪くなってしまいます。せっかく良くなったのに、また悪くなってしまったと落胆してしまいます。このようなことは多くのうつ病の患者さんに認められます。
ちょっと良くなっても、調子を崩すと、またうつに逆戻りしてしまいます。せっかく良くなったのに、また逆戻りです。特に治りにくいうつ病では、このようなサイクルに陥っている方が少なくありません。良くなっても、すぐにまた悪くなると、薬が効かなくなったと勘違いしたり、自分のうつ病は一生治らないものと考えて悲観しまうこともあります。
うつ病の回復期では、自分の気力と体力の限界を越えないように気をつけましょう。自分で考えているよりも、気力や体力の余力は乏しいのです。気力や体力の限界を越えない範囲で少しづつ動くようにしましょう。そうすれば段々余力が出てきます。余力が出てきたら、活動の範囲を広げていく、この繰り返しでうつ病は良くなっていきます。
院長 高橋道宏