2018年8月13日 月曜日
パニック障害では、突然の動悸、過呼吸、手足のしびれ、発汗などと一緒に不安が起きるパニック発作がみられるます。発作がない時は全く普通の状態ですが、パニック発作の時は死んでしまうのではないかと思う程酷い不安に襲われます。
一度発作を経験するとまた発作が起きるのではないかと心配するようになります(予期不安)。電車や新幹線、飛行機などの乗り物に乗っている時にパニック発作が起きたらどうしよう?と考え、乗り物などに乗れなくなってしまいます。
発作がいつ起きるか予想することは難しく、一度発作が起きてしまうと、発作の時の怖さが忘れられず、またパニック発作が起きるのではないか?と更に不安が強くなります。
この結果、不安への呪縛からいつまでも逃れられなくなり、パニック障害が治りにくくなります。パニック発作は繰り返せば繰り返す程治りにくくなります。ですから、まずパニック発作を予防することが治療上重要です。
パニック発作を予防するためには、お薬の力を借りる必要があります。心の症状はある程度気の持ちようで対応できますが、動悸や過呼吸など身体症状は自分ではどうすることもできないからです。
パニック発作を予防するためには抗不安薬を常用するよりも、SSRIといわれる脳内のセロトニンを増やすお薬(抗うつ薬としても使われる)が効果的です。抗不安薬は長く服用するとその効果に慣れてしまうことがあり、さらに多くの薬が必要になります。これが依存です。
抗不安薬は量が増えると眠気が強くなります。しかし、量を増やしても効果はあるところで最大になり、それ以上効果が出ることはありません。かえって副作用が増えるだけです。SSRlは長期に服用しても効果が落ちることは無く、量が増えていく心配もありません。
ですから、発作の予防にはSSRIを使用し、それでも不安が起きそうな場合に頓服として抗不安薬を使用すると良いのです。また、抗不安薬を普段あまり飲まないようにしておくことで、いざとなった時に抗不安薬の効き目が出やすくなります。
体調管理をしながら、お薬を上手に使い、パニック発作の不安から解放されましよう。
院長 高橋道宏