2018年8月20日 月曜日
当院では、うつ病のため受診するお子さんが少しづつ増えています。お子さんの場合、軽症のうちに受診する方はほとんどいません。学校に行かず引きこもりがちになり、初めて事態の深刻さに気づきます。保護者同伴で受診するケースがほとんどです。
子どもの場合、大人と異なり、あまり症状を訴えません。元気なさそうに見えるだけで病気とは気づかないケースが多々あり、受診が遅れる原因となっています。受診しても、お子さんは寡黙で多くを語らず、保護者が事情のほとんどを説明します。
このように、子どものうつ病では、不登校、引きこもりなど生活に大きな支障をきたしてから受診することがほとんどです。しかし、診察室でお話を聞いてみると、心と体の変調はそれよりも遥か以前から始まっていたことがわかります。
子どものうつ病は、たとえ治療がうまくいったとしても、将来大人になってからうつ病の再発リスクが残ります。中高生の時にうつ病の治療をしっかりと受け、将来再発しないようにすることが子ども将来にとって何より大切です。
そのためには、できるだけ軽症のうちに治療を始め、心身へのダメージを出来るだけ少なくするようにしましょう。子どもには、これから長い人生が待っています。親が人生を終えた後も、子どもは生きていかなければなりません。これからの人生を見据えた早期治療が求められます。
早期に子どものうつ病を発見するためには、「いつもいらいらした気分になる」「引きこもりがちだ」「やろうとしたことが思い通りにできない」(こどものうつ.jpより引用)などお子さんの発するヘルプサインに注意しましょう。どのような点について注意すべきかは、こどものうつ.jpにあるセルフチェックを参考にして下さい。
医療全般に通じることですが、軽症のうちに受診し重症化を予防することが将来への禍根を最も少なくします。心の病気も例外ではありません。子どものうつ病は早期に発見し、適切に治療すれば、早期に回復します。逆に、発見が遅れれば遅れるほど、回復が難しくなります。気になったら早めに受診されることをお勧めします。
院長 高橋道宏