2022年6月20日(月)
注意欠如多動性障害(ADHD)の治療では、お薬による治療が積極的に行われるようになりました。
ネット情報などからADHDを疑い受診される方も多くなっています。他の病気と比べ、ADHDの自己診断は割と当たっています。
一般に精神疾患では自己診断の的中率はあまり高くありませんが、ADHDは自分で症状をより客観的につかみやすいのだと思います。
薬の効果はかなりあり、症状の改善を実感しやすいため、ADHDの方の治療満足度は高い傾向にあります。
一方、症状の改善が続くと、安定した状態になります。うつ病でみられるような症状の波がないため、お薬を飲んでいる意味がわからなくなることもしばしばです。
ADHDのお薬を飲んで効果があるとはどのようなことなのでしょうか。お薬を飲み続ける意義はどこにあるのでしょうか?
確かに服薬することで集中力、落ち着きのなさは早期に改善します。
改善したことで、当初はこのような変化を歓迎していても、この状態が長く続けばこれが当たり前になり、特にメリットを感じなくなります。
ADHDのお薬を飲むことで全ての問題が解決するわけではありません。
お薬を飲んでいても、計画的な行動、部屋の片付け、マルチタスクに対する対応などは十分に改善しないことが多いものです。
集中力、落ち着きのなさだけでなく、まだ改善していない問題に対しても改善のための工夫を続けることが大切です。
これまでは空回りしていたかもしれませんが、お薬を飲みながら努力すると、努力が実を結ぶようになります。
ADHDの薬を飲み続けるのはこのようなところにあるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏