2023年4月10日(月)
抗不安薬はベンゾジアゼピン系に分類される薬剤です。服薬すると遅くとも1時間以内には効果が現れ、不安が改善します。
即効性があり、効果がハッキリしているため、これまで不安障害の治療で大きな役割を果たしてきました。
一方、抗不安薬には依存性があります。毎日服薬していると、次第に効果が薄れ、もっと多くの抗不安薬が必要になります。
投与量が増えても、しばらくすると慣れてしまい、再び増量が必要になります。このような増量に終わりのない状態は薬物依存です。
増量を続けていると、その薬の使用限度量に到達し、これ以上薬を増量できなくなります。
一般に薬の使用限度は効果が頭打ちになる量に設定されています。つまり、最大投与量以上の薬を使用しても、残念ながら効果はそれ以上のものとはならないのです。
むしろ、薬の量が増えるにつれて、副作用が発現するリスクは高まります。
薬物依存になるほど抗不安薬を、多量に、長期間使用しても、不安障害が治るわけではありません。
むしろ、抗不安薬は使えば使うほど、抗不安薬に依存し、不安障害は治りにくくなるのです。
抗不安薬はできるだけ少なめに使うようにしましょう。
抗不安薬は一時的に症状を軽減しますが、根本的な治療にはなりません。
抗不安薬はパニック発作が起きてしまった時など、どうしても抗不安薬が必要な時だけ使用するようにしましょう。
不安はオバケのようなものです。本当は自体のないものです。実体のない不安を気にしても仕方がありません。
不安に巻き込まれないように、行動を重視する。不安を考え続けないようにする。
神経質性格に基づく「こうあるべき」「こうあってはならない」などの画一的思考の修正をはかる。
このように不安と向き合い、メンタルを強くしていくことが真の問題解決につながるのです。
高橋心療クリニック
院長 高橋道宏