アルコール依存症の治療法: 断酒から減酒への新たなアプローチ

アルコールは日常生活に深く溶け込んでおり、社交の場やリラックスの手段として利用されています。しかし、アルコールの摂取が習慣化し、制御不能になると、アルコール依存症という深刻な問題に発展します。

アルコール依存症になると次のような症状が現れます。

1. 飲酒の制御が難しい:決められた量や頻度を守れない。
2. 強い飲酒欲求:他の活動が手につかなくなるほどの飲酒欲求。
3. 飲酒の優先度が高い:仕事や家庭生活よりも飲酒を優先する。
4. 離脱症状:飲酒をやめると、震えや不安、発汗などの症状が現れる。
5. 耐性の増加:同じ効果を得るために、以前より多くのアルコールを必要とし、飲酒量が増える。

アルコール依存症は、身体的には肝臓疾患や心臓病、消化器系の問題を引き起こし、精神的にはうつ病や認知症の発症リスクが高まります。また、家庭内暴力や交通事故のリスクも増大します。

アルコール依存症からの回復には、飲酒欲求を効果的に管理することが重要です。この際、飲酒欲求を減らすための薬が役立ちます。この治療薬は、アルコールを摂取する前に服用することで飲酒欲求を抑制します。アルコール摂取時に快感を生み出すβエンドルフィンの分泌をブロックし、飲酒欲求が自然に減っていきます。

これまでの治療は断酒が主流でしたが、患者さんにはハードルが高い治療方法でした。

最近では減酒治療が軽度のアルコール依存症の患者に有効であることがわかっています。初めてアルコール依存症の治療を受ける方にもアクセスしやすい方法で、多くの方々が依存症の改善に取り組んでいます。

新たな減酒治療のアプローチは、アルコール依存症を抱える方々にとって、より取り組みやすい選択肢であり、治療の第一歩を踏み出す支援となっています。

アルコール依存症は進行性の病気です。放置すると依存が進み、入院治療が必要になります。将来の悪化を予防するためにも、通院治療で対応できるうちに早急に治療を開始しましょう。

高橋心療クリニック
院長 高橋道宏

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